新しい“木”の酒造り、林業の求人サイト…「森との共生」をめざす日本各地の取り組み[FRaU]
WoodSpirits(茨城県)
間伐材がスピリッツに。新しい木の酒造りが進行中。 間伐材の利用に向け各社がアイデアを出す中、ユニークな試みが酒造りへの活用だ。未活用素材を用いて酒造りを行ってきたエシカル・スピリッツ社と国立研究開発法人森林総合研究所がタッグを組んで進めるのが〈WoodSpirits〉というプロジェクト。 細かく粉砕した木を、そのまま発酵・蒸留させて造る酒の商品化を目指している。過去には樽で熟成させたものや木のオイルを注入したものが“木の酒”と呼ばれることもあったが、木そのものを原料とする酒は画期的だ。 商品第1弾では、埼玉県ときがわ町で採れるスギの間伐材を使用。青リンゴのような甘い香りと爽やかな草原を思わせる、バランスのいい酒に仕上がるのだそう。販売は2024年末以降を予定。その日を楽しみに待ちたい。
RINDO(全国)
29歳の青年が始めた林業の求人サイト。 2024年1月、林業の求人サイト〈RINDO〉が開設された。 運営会社の代表を務める中村就さんは、「日本の林業の大きな課題は、働き盛りの人手が足りていないこと。林業は完全にはAIやロボットに代替できず、今後も人が技術をつないでいかなければならない仕事です」と話す。
人手不足の原因は、林業の魅力が若い人に伝わりにくく、職業の認知度が低いことや、業界内での人材の流動性が低く、他業界と比べると定着率が低いことが挙げられる。
「RINDOの事業を通じて20~30代にも“林業を生業にすること”の魅力を伝えて、担い手を増やしていきたいです。業界内での転職を検討する人が増えれば、より自分に合った環境に移って林業を続ける人が増えるはず」。 ●情報は、FRaU2024年8月号発売時点のものです。