新しい“木”の酒造り、林業の求人サイト…「森との共生」をめざす日本各地の取り組み[FRaU]
適切に手を入れることで、健やかな森林を保とうとする持続可能な森づくり。日本でも、自分が暮らす地域の森を元気にするための取り組みが各地で始まっています。建築やデザイン、食やレジャー、教育など、そのアクションはじつにバラエティ豊かでユニーク。その根底には、森と共生することで自然も自分たちの暮らしも豊かにしたいという思いがありました。
ソマノベース(和歌山県)
自ら育てた苗木で、土砂災害のない森づくりに貢献。 「土砂災害による人的被害をゼロに」をミッションに、土砂災害リスクの低い山林を増やす事業を行う〈ソマノベース〉。2011年、和歌山県紀伊半島の豪雨による土砂災害で被災した代表の奥川季花さんが25歳のときに立ち上げた林業ベンチャーだ。 主に自然環境の保全に貢献したい企業のほか、生活者と林業従事者をつなぐ役割を担う。その一環として近年取り組む企業が増えているのが、支援するだけで終わらせない参加型の森林保全サービス「MODRINAE(戻り苗)」。
購入した苗木をオフィスなどで1年間(どんぐりの場合は2年)育てたのち、森に還す。その苗木は約20年かけて森を再生させる一助となる。参加者からは「社員や来客者に向け、認知の拡大につながる」「コミュニケーションツールになる」「自分ごと化しやすい」という声が寄せられている。
せとうちコンポスト(広島県)
廃棄物を有効活用してコンポストに。地域全体で大きな循環を生み出す。 近年、徐々に暮らしに浸透しつつあるコンポスト。そんな中、注目を集めているのが、コンポストを使って地域の環境をまるごとよくしようと取り組む広島発の〈せとうちコンポスト〉だ。
基材に使うのは地元、広島県三次市の浄水場に溜まった里山のミネラルから生まれた「瀬織」という土壌改質材に、葦や籾殻くん炭を混ぜたもの。外箱には県内の間伐材を使用し、山の整備を行いながらこれまで廃棄されていた資材を有効活用して循環型のコンポストを完成させた。
コンポストでできたたい肥は家庭菜園で使うほか、余ったものはたい肥を活用する循環の場「土の駅」に持ち込めば、県内の農家や牧場、緑化施設で使ってもらうこともできる。市民と自治体、民間企業や団体が協力してその土地の土づくりをする画期的な取り組みだ。