ソニーから独立して10年、ノジマグループとなるPCメーカー「VAIO」社長が語る“純国産”メーカーのこだわり
■ 「カッコイイ」「カシコイ」「ホンモノ」を徹底的に訴求 ──成約企業は他社のパソコンと比べて、VAIOのどんな優位性を評価していましたか。 山野 2023年の春に商品理念として改めて明文化した「カッコイイ」「カシコイ」「ホンモノ」という3つのキーワードはわれわれの大きな強みですので、この3点をお客さまにも徹底的に訴求していきました。VAIOの価値を突き詰めていくとそこに集約されるのです。 そのすべてを盛り込んだ最新作が、「VAIO Pro PK‐R」(個人向けモデル名は「VAIO SX14‐R」)です。 まず「カッコイイ」ですが、これは見た目のデザインだけではありません。クルマに例えれば、BMWやポルシェのカッコよさは、走りの質感や高い機能性も大きな要素ですよね。同様に、VAIOの最新作はパソコンの角に切れ込みがあるので、スタイリッシュに片手でサッと持ち上げられます。こうした工夫は他社製品では意外と見られません。 また、パソコンを開いた時にキーボードの傾斜角度がタイプしやすいものとなっており、かつヒンジ(液晶画面開閉部)も見えません。ユーザーにはキーボードと画面に没入してほしいがためにそうした設計にしています。細部にわたるこだわりの機能美が「カッコイイ」なのです。 もう1つ、最新機種であるVAIO Pro PK‐Rのディープエメラルドやアーバンブロンズなど、他社にはない多色展開もソニー時代からのVAIOの遺伝子だといえます。ユーザーが朝、自分のパソコンを開く時にワクワクしてモチベーションを高められるようなカラーバリエーションも大事だと考えているからです。 ──「カシコイ」や「ホンモノ」のこだわりは。 山野 「カシコイ」は、マイクを3つ搭載することで、後方や隣人の雑音を識別して拾わないようになっているほか、のぞき見防止のアラート機能もつけています。パソコンはユーザーの良き相棒ですから、生産性を飛躍的に高めてくれる賢い相棒でなければいけません。 「ホンモノ」は一言で言えば高品質なことです。当社は今では数少ない純国産のパソコンメーカーですから、国産のこだわりを持ち、安曇野(長野県)にある生産工場で “安曇野FINISH”と呼んでいる、1品1品丁寧な商品の検品を行っています。ですからVAIOのパソコンの初期不良率は極めて低いです。 また、通常は低コストで済むためプラスチック製のパームレスト(キーボード使用時に手を置く箇所)がほとんどなのに対し、VAIOではアルミを使っています。見栄えがいいだけでなく、耐久性が高いからです。 もう1点、ノートパソコンは排熱がとても大事なのですが、最近はパソコンの底面から空気を吸って後方から排熱するのが主流です。その方が機構上シンプルでファンも小さくでき、結果、軽量低コストで済むからです。 しかし、VAIOは後方から吸入して側面から排熱しています。底面から吸うとほこりを吸いやすい上、後方からの排熱では液晶に熱風が当たり、液晶の劣化を早めてしまいます。そこで後方吸引側面排熱としました。そうしたこだわり設計の一つ一つがユーザーの満足度向上につながっていると自負しています。