どうなる?揃って3連勝したヤクルトと阪神のV争いを“球界大御所”が紐解く…「一丸ムードの燕」と「投手力の虎」
佐藤は5試合ぶりに「7番・ライト」でスタメン起用されたが、2三振を含む4打席ノーヒット。連続打席ノーヒットの野手ワースト記録を「59」に伸ばした。まだ長いトンネルを脱出することができていない。 「バックスイングで間を作ることができていない。下半身でバットを振ることを忘れ、バランスが崩れておりインパクトの瞬間に最大のパワーが発揮できない状態となっている。そこを教えてやるコーチが阪神にはいないのが問題。技術的にも問題があるが、なによりも精神的な迷いが見える。監督、コーチが、その迷いを消してやらねばならない。一時期、2軍に落としていたが、あれだけの選手を2軍に落とす意味はない。佐藤が今年の阪神をここまで引っ張ってきたのだ。たとえ五十何打席ノーヒットであろうが、使い続ければ結果は出す」 辛口の広岡氏が珍しく迷える怪物ルーキーに熱きエールを送った。 巨人も、1点ビハインドで迎えた9回二死二塁の土壇場に代打の大城が2ストライクに追い込まれてから、ライトフェンス直撃の同点タイムリー二塁打を放った。あと数センチ上なら逆転サヨナラ本塁打だった。なお二死二塁とサヨナラ機が続き、代打の中島は申告敬遠、この試合で一発を放っている広岡も死球でつなぎ、二死満塁まで追いつめたが、最後は松原が三振に倒れ、引き分けに終わり、横浜DeNAに3連勝とはいかなかった。ヤクルトとは5.5差。 広岡氏は、「巨人はあまりにも投手陣が弱すぎる。ここにきてオーダーを固定できないのも苦しい」と、逆転Vはよほどの外的要素が生まれなければ苦しいと見ている。明日5日から巨人はヤクルトと直接対決するが、3タテしても2.5差あるのだ。 ヤクルトは残り20試合。阪神は残り17試合。気になる優勝ラインは、ヤクルトが10勝10敗の勝率5割で乗り切れば、勝率.575となり、阪神は11勝6敗で大きく勝ち越し勝率.581としなければ逆転はない。ちなみに残り15試合の巨人は14勝1敗で勝率.584となる。 ただヤクルトは、20試合のうち阪神との直接対決が8日から神宮で3連戦、19日から甲子園で2連戦と5試合残り、巨人との対戦も6試合ある。その勝敗で心理的状況が大きく変わっていくため「勝率5割でOK」などの計算は気休めにもならない。 優勝するチームは、この本当のラストスパートで負けないもの。広岡氏は、「どこが優勝するか」の質問に対して断言はしなかったが、ヤクルトが巨人、阪神と対戦する今日5日からの1週間が優勝の行方を占う最大の山場となるのは間違いない。 (文責・駒沢悟/スポーツライター)