28年ぶりに連続打席無安打ワースト記録更新の阪神・佐藤輝明にスランプ脱出の“処方箋”はあるのか?
阪神が29日、甲子園球場で行われた広島戦に2-8で完敗。連敗を喫し首位のヤクルトが横浜DeNAに5-7で敗れたがゲーム差「1」を縮めることができなかった。2度の満塁チャンスでの拙攻やベンチの8回の継投ミスなど優勝を狙うチームとは思えない内容の薄いゲームになったが、問題はスタメンを外れた怪物ルーキー佐藤輝明(22)のスランプだ。5回無死三塁の得点機に代打で出場したが、浅い左飛に倒れ、ついに54打席連続無安打となり、1993年にオリックスのケルビン・トーベが喫した53打席連続無安打の2リーグ分立以降の野手ワースト記録を28年ぶりに更新した。佐藤が復調しなければ、虎のラストスパートに火がつかない。
5回無死三塁に代打出場も浅いレフトフライ
2点を追う5回に“サトテル”の名前がコールされた。先頭の梅野がライトフェンスを直撃してバウンドが変わるラッキーな三塁打で出塁すると、矢野監督は、青柳の打席で、23日に再昇格後、6試合ぶりにスタメンを外した佐藤を代打に送り出した。 マウンドには入団8年目にして初の2桁勝利に王手をかけている九里。今季は低めの変化球が冴え、ゴロを打たせて取る“グラウンドボールピッチャー”として存在感を示している右腕だ。 その初球。カープの捕手・坂倉はインサイドに体を寄せて構えた。インハイの際どいコースに投じられたストレートはボールの判定。続く2球目にもまた坂倉はインサイドを要求した。 コースはやや真ん中、高めのゾーンに来た142キロのストレートを佐藤は打って出たが、明らかに差し込まれた。バットの芯を外れて、浅いレフトへのフライ。三塁走者の梅野はタッチアップのスタートを切ることができなかった。 “サトテル”の代名詞であるフルスイングではなかった。 佐藤は、代打だけでベンチに下がり、連続打席ノーヒットはついに不名誉な記録を更新する「54」となり、ヒットは8月21日の中日戦以来、本塁打に至っては、8月19日の横浜DeNA戦以来、1か月以上出ていない。 佐藤は東京五輪による中断期間に、グリップの左手の持ち方を変えて、そのグリップの位置を少し低くするフォーム改造を手がけた。上半身ばかりに意識がいったせいか、右足の上げ方を含めたタイミングの取り方に間がなくなり、必然、踏み込みも浅くなり「コントロールミスをすれば一発がある」という佐藤の武器とも言える怖さが消えてしまっている。 阪神OBでもあり、巨人、楽天、西武などで“参謀”を務めた新潟アルビレックスBC監督の橋上秀樹氏は、課題の“選球眼”を問題視した。