どうなる?揃って3連勝したヤクルトと阪神のV争いを“球界大御所”が紐解く…「一丸ムードの燕」と「投手力の虎」
投手陣が弱点と言われていたが、2年目の奥川が存在感を示し、彼に引っ張られるように先発陣が安定感を見せている。この3連戦も初戦に原が6回まで1失点、第2戦も高梨が7回まで1失点に抑えてゲームメイク。奥川、小川、高橋、石川、原、高梨、サイスニードと先発ローテーは余るほど。ブルペン強化にスアレスを後ろに回すことができたのも、そのおかげで、高津監督は、7回今野、8回清水、9回マクガフにスアレスを加える新勝利方程式で、残り20試合を突っ走るつもりだ。 「開幕前の戦力を見てヤクルトは最下位争いをするのだろうと予想していた。どうみても投手の駒が足りなかったが、高津が投手をやりくりし、フロントも打線に外国人2人をうまくはめこんで弱い投手陣をカバーした。巨人に比べると金はかかっていないだろうが本当に野球は怖い。優勝するときというのは、すべてがプラス、プラスに連鎖していくものだ」 広岡氏は、ヤクルトに優勝への“勢い”を感じるという。 ヤクルトは明日5日からの巨人戦で連勝もしくは1勝1分けで、阪神が横浜DeNAに連敗すると6日にもマジック13が点灯することになる。 一方の首位ヤクルトを1ゲーム差で追う阪神は、ガンケルが鋭く落ちる変化球を凡打ゾーンに集めてリーグ最低チーム打率.238の中日打線を封じ込め、3回に3戦連発となるマルテの22号ソロで奪ったリードを守った。ピンチらしいピンチは7回だけ。一死一塁でガンケルの後を受けた及川がワイルドピッチで三塁まで走者を進ませ、同点機を作ってしまうが、高橋周平を三振に打ち取り、ギャンブルスタートを切っていた三塁走者の福田の動きを冷静に見ていた梅野が三本間で封殺してピンチを切り抜けた。 広岡氏は、阪神の現状をこう見ている。 「野球は70%投手だ。巨人が優勝争いから脱落し、阪神が優勝圏内に留まっている理由は、そこにある。阪神は投手陣が非常に安定している。オリックスでぬるま湯につかり、勝ち方を知らない西は、エースとは呼べないが、ここにきて左腕の高橋が出てきたし、青柳、秋山、ガンケル、そして新人の伊藤将はゲームを作れる。巨人と違い、ブルペンが安定しているのも強み。8回岩崎、9回スアレスの布陣は、ヤクルト、巨人にない部分だろう。問題は打線。長いペナントレースで考えると、投手陣の整備が結果につながっていくが、ラストスパートの時期に入ってくると、打線の勢いというものが必要になってくる。私は大山は4番として十分に仕事を果たすことのできる素材だと評価しているが、カギを握るのは佐藤だ」