次の役は色気ダダもれ!? 仲野太賀「常に未知のキャラクターに挑める役者でいたいんです」
自分の理解を超えた“分からない”ことに本質があると気付かされました
── 岩松作品に参加したことで、仲野さんのお仕事や人生観に影響を与えていることや、岩松さんからの言葉で印象に残っているものはありますか? 仲野 以前、岩松さんが、「人はいろいろなことを“分かった”気になるけれど、それは結局、その時、自分の中で理解できている小さなこと。でも“分からない”ということは、自分の理解を超えた大きなもので、実はそこに真実や本質があるんじゃないか」とおっしゃった。“分からない”ことをネガティブに捉えない、そういう解釈があるということが、目からウロコというか、衝撃でした。でも、すごく納得できたんですよね。 人間って“分かっている”ことで安心するし、分かった知識や経験を多く持っていることを重視しがち。でも世界中には“分からない”ことのほうがはるかに多い。“分かっている”は、自分の主観でしかない。それより“分からない”ことのほうに、はるかにドラマがあるんじゃないかと。 ── なるほど。“分からない”部分にこそ、魅力があると。 仲野 そうなんです。“今を描く”という視点でも、分かってしまった時点で、それは今じゃなくて過去になってしまう。“分からない今”、それが岩松さんの描こうとしている“今”じゃないかと思うんですね。 岩松作品は、セリフもすごく多いんですけど、どれも美しい。でも、言葉を尽くしても尽くしても、形容できない何かが舞台上に残っていく。それが素敵だと思えるんです。
挑戦し続ける人、世代の垣根を越えられる人はカッコいいと思います
── 数々の映画やTV・配信ドラマに参加されていますが、特に今年は、主役級の役も続いていて、大ブレイクされている印象です。 仲野 大ブレイク、というのは正直、自分では分からないですが、そう言っていただけるのは素直にうれしいですね。実際には、ひとつの作品が終わってから次に取り組む、という形でスケジュールを組んでもらっているので、それぞれ集中して向き合えていて、自分にとって心地いいリズムでお芝居ができている感覚です。 役者って、声をかけていただいて、それが次につながる仕事なので、映像であれ舞台であれ、たくさんの人に作品を見てほしいです。