ECB、ユーロ圏中核国の政治危機の中で政策決定へ-高い不確実性
(ブルームバーグ): 欧州中央銀行(ECB)は、ユーロ圏の中心部で起きている指導力危機という問題の中で今年最後の政策決定会合を開く。
ドイツとフランスでは予算案を巡る対立で政府が崩壊。現在も続く混乱により、ECBは域内2大経済圏の状況をほとんど把握できていない。
欧州の政治空白は12日に予想される利下げを妨げるものではないが、現在作成中の四半期経済予測の正確さに疑問を投げかけ、トランプ次期米大統領の貿易関税の脅威ですでに高い不確実性を、さらに高めることになる。
ECBにとって最も差し迫った問題は、独仏両国の財政政策が今後どうなるか、および、政治の漂流・混乱が消費者や企業にどのような影響を及ぼすかだ。これらがECBを「相反する方向」に引っ張る可能性があると、HSBCのエコノミスト、ファビオ・バルボーニ氏はみている。
「一方で、政治不安と政策上の不確実性が消費や投資に影響を与え、成長に悪影響を及ぼす可能性がある。他方、フランスを中心とした来年の財政引き締めがインフレ抑制に役立つことをECBは期待してきたが、現在の状況ではそのような財政政策が実際に実施されるかどうかに疑問符が付く」と同氏は分析した。
フランスではバルニエ内閣の600億ユーロ(約9兆5000億円)規模の赤字削減案が理由で政府が倒れた。マクロン大統領は新首相の指名を急いでおり、新政府の優先事項は予算案を議会通過させることだ。
ドイツでは、経済政策を巡ってたびたび内部で対立していたショルツ首相率いる連立政権が崩壊したことを受け、来年2月に総選挙が予定されている。仮にメルツ党首率いるキリスト教民主同盟のが選挙で第1党となったとしても、新政権樹立に向けた協議が長引く可能性が高い。
ECBは現在、インフレの抑制から成長の促進へと重点を移していることから、今週は今年4回目となる利下げを実施すると見込まれている。
同時に最新の経済予測を公表する予定だが、予測は恐らく11月中ばまでのデータに基づいたものになる。