【海が見える家】リビングから絶景を独り占め…まるで展望台!建築家が作り上げた、週末だけの特別な家
多様な景色に対応するように箱を積み重ねた建物
最終的に夫妻がそれぞれ選んだ案を融合させ、4つの箱が角度を変えて積み重なった空間構成を採用。 1階は敷地に並行になるよう2つの箱をくの字に配置し、2階は長方形の箱を海に向かってせり出させました。さらに最上部の箱は別の景色が見える角度で設定し、箱が重なった部分をつなげて吹き抜けにしています。 配置のズレも相まって、伸びやかな空間のなかに変化に富んだ居場所が生まれています。 「住みながらよいところを見つけていってほしいので、設計でつくり込みすぎないようにしています。吹き抜けのつなげ方も、建築家が緻密につくり込んで想定どおりの光を入れる手法ではなく、少し大胆に空けてみる。そうすると想像もし
陸・海・空。すべてを見渡せる自然と一体になったようなリビング
主役はなんといっても2階のリビング。眼前に相模湾の海が広がり、先端に立つと自然と一体となったような心地です。海だけでなく山に面した北西側もガラス張りにしているので、室内にいながら自然を存分に味わえます。 「おかげで外に出かけたいとも思わず、週末はほとんど家のなかで過ごしていますね」と奥さまも笑顔。 「テレビを置かず、wi-fiもつなげていないのですが、本を読んだり、音楽を聴いたり、楽しく過ごしています。海もいつも違う表情なので、ずっと見ていても飽きないんです」
プライベート空間にもどこか海外を感じさせる仕掛けを
1階はプライベートな空間をまとめています。床を玄関より半階下げ、庭のテラスまでモルタルで連続させているので、開放的な2階とは印象が異なり、ほどよい陰影によって落ち着いた雰囲気。 そのなかで目を引くのがベッドルームの黄色の大きな回転扉。扉を開くと庭と連続し、色使いや庭とのつながりがどことなく南米の建築を彷彿とさせます。 テラスには段差を活用してコンクリートのベンチを造作し、奥さまは潮風を感じながらここで過ごす時間がお気に入りだそうです。
奥さまのイラストから生まれた「新しい表情」
キッチンやバスルームの素材、設備は奥さまによるセレクト。絵が得意な奥さまがイラストを描き、小野寺さんとやりとりを重ねたといいます。 「自分では選ばない素材もあったり、彼女の感性が入ることで空間に新しい表情が引き出されました」と小野寺さん。 家具を選ぶ際も模型写真にイラストを描き込んで検討。まさに建築家と住み手のフラットな関係性と共同作業で生まれた空間なのです。 「ここでの暮らしがあるから平日の仕事も頑張れるし、月曜も新鮮な気持ちで会社に行けます」とKさん。 「時間の流れはゆっくりだけど、楽しく過ごしているので一日があっという間。子供がもう少し大きくなったら、海に泳ぎに行くのが楽しみです」と2人は笑顔で顔を見合わせました。 (ML265号掲載)