2025年には「団塊の世代」が全員75歳以上 高齢者の生きがいにもなっている「UDe-スポーツ」に大学も熱視線
池田さんによると、「施設にとっては、利用者の欠席は収入に直結する問題」なのだとか。将来は、休みがちな利用者をUDe-スポーツでつなぎとめる、UDe-スポーツを利用できる施設が選ばれるようになる、といった未来が実現するかもしれません。 UDe-スポーツは施設や自治体のほか、放課後等デイサービスや高校でも導入されています。放課後等デイサービスとは、発達に特性のある子どもや障がいのある子どもを学校以外の時間にサポートする通所施設です。 池田「放課後等デイサービスで活用されることは想定していなかったので、問い合わせをもらったときは驚きました。子どもの療育に活用したい、とのことでしたね。 UDe-スポーツを導入した高校は福祉科のある学校で、レクリエーションの実習や、地域の高齢者との交流に使っているようです」 自治体がUDe-スポーツを導入する目的は、認知症や引きこもりの予防です。 UDe-スポーツを通して住民同士の交流を増やしたり、世代間交流を促したりすることに活用されています。
プレーヤーにさまざまな変化が見られるように
池田さんがeスポーツのサポートをした熊本県美里町の高齢者の中には、「ぷよぷよ」をすることが「生きがい」と話す人もいました。美里町では、ゲームをした住民の間のコミュニケーションが増えるというよい影響もあったそうです。 UDe-スポーツでも、それと似たような現象が起こっている、と池田さんは言います。 池田「UDe-スポーツには、プレーヤーの意欲を高める効果があると感じています。レクリエーションへの参加をかたくなに拒んでいた人が、UDe-スポーツをきっかけにゲームが生きがいになったり、101歳と100歳のご夫婦が同じ施設で競い合っていたり。 ライバルがいる、練習の成果を披露する場がある、目標を持つ、孫などの若い世代から尊敬のまなざしで見られる、といったことが、人を元気にするのだと思います」 習い事やスポーツをしていると、試合や発表の機会が必ずといっていいほどあります。 しかし、年齢を重ねるとケガをせずに楽しむことが優先され、試合や発表からは遠ざかってしまいがちです。池田さんはUDe-スポーツを楽しむ人たちを見て「成長することは何歳になっても大事なのだ」と実感しています。 放課後等デイサービスでは、UDe-スポーツを継続している子どもが順番の譲り合いや待つことができるようになったり、怒りっぽい子どもが穏やかになったり、物事に取り組む意欲が出てきたりという変化が見られるそうです。