なぜ”ようやく”ヴィッセル神戸の大迫、イニエスタ、武藤の”オールスターズ”が爆発したのか?
34分には2年ぶり2度目となる1試合複数ゴールを、大迫のアシストから決めた。ゴール正面、ペナルティーエリアの外側から右足を一閃したイニエスタの今シーズン4点目を巻き戻せば、西川がゴール前から味方へつなごうとした縦パスをカットし、佐々木を介して大迫につなげたサンペールの激しいプレスが起点になった。 浦和に1点を返された4分後の後半8分には、浦和のペナルティーエリア内でプレッシャーをかけた大迫、武藤、イニエスタが相手のパスミスを誘発。すかさず攻撃に転じ、最後はイニエスタのクロスを武藤が頭で流し込んだ。 バルセロナ時代から逸材と称された元スペイン代表のボージャンも、イニエスタとの交代でトップ下に入った9分後の後半39分に鋭い出足からボールを奪取。そのままミドルレンジから右足を振り抜き、豪快な来日初ゴールを叩き込んだ。 5ゴールすべてが2トップに導かれた「アグレッシブに、前へ」の姿勢から生み出されている。そして大迫自身も神戸を変貌させた2トップをポジティブに受け止めた。 「やりやすさというよりも、相手が嫌だろうな、と感じていました」 国際Aマッチデーウイークに伴いリーグ戦は中断され、勝ち点で名古屋グランパスに並び、得失点差で上回って暫定3位に浮上した神戸の次節は、ホームにアビスパ福岡を迎える16日まで空く。ただ、大迫には日本代表での戦いが待つ。 敵地でサウジアラビア、埼玉スタジアムでオーストラリア両代表と対戦するアジア最終予選の前半戦のヤマ場へ。代表戦を「まったくの別物」と位置づける大迫だが、待望の初ゴールを決めたいま、精彩を欠いた9月シリーズより感触はいいのでは、という質問には「もちろんそこは少なからずあります」とこう続けた。 「30歳を超えたら、悪いプレーをすればすぐに『落ちた』と言われるので。そういう声に対しては、自分のプレーで違いというものをしっかりと作っていけるようにしたい」 ゴールだけではない。神戸での2戦目だった、8月28日のFC東京戦における大迫のスプリント回数は90分間でわずか「5」だった。9月シリーズ後の4試合ですべて先発フル出場を継続し、いずれも10kmを大きく超えている総走行距離を含めて、森保ジャパンでも最前線を担う大迫の心身のコンディションは確実に上向きに転じている。 (文責・藤江直人/スポーツライター)