本を読まない子も夢中になる児童書「グレッグのダメ日記」シリーズ。作者・ジェフ・キニー、不登校児へのメッセージは「スマホで世界を狭めないで」
スマホの外側で人生を作ってほしい
――夢見ることが世界の子どもたちに共通することだとしたら、とても素敵ですね。「ダ・ヴィンチWeb」は本を紹介するサイトなのですが、ジェフさんが子どもの頃に読んでいた本や漫画はありますか?
ジェフ:アンクル・スクルージ(日本での愛称はスクルージおじさん)の漫画本をよく読んでいました。お話の中でキャラクターが世界のいろんな国に出かけていて、この漫画を読むことでさまざまな学びがありましたし、この漫画を通じていろんな世界を探訪しました。今は自分でも実際に、漫画で読んだいろんな国を訪れることができて嬉しく思います。 ――その頃の学びが本作にも生かされているのですね。今の日本には、生きるのが楽しくないと感じている子や、誰かから誹謗中傷を受けたり、人より劣っていると感じたりして学校に行けなくなるような子が増えています。本を通じて多くの子どもに元気を届けていらっしゃるジェフさんから、メッセージを送ってもらえたらと思うのですが。 ジェフ:ひとつ、コロナの時代を通じて私たちが学んだことは、人との繋がりや絆の大切さです。今の子どもたちは、外の世界よりもスマホの中にあるバーチャルの世界の比重が大きくなっている。そういう体験をしている最初の世代、第一世代だと思います。それに対して、グレッグはもう少し古いタイプの子どもで、スマホをほとんど使っていないんですね。作品の中にスマホの話が出ることもありますが、私自身は、スマホというのは子どもたちに限らず、人と人のメンタルヘルスを壊滅的にするようなものだし、世界を狭めるようなものであると思っています。 私からそういう子どもたちに伝えたいのは、外に出てみて、誰かと顔を突き合わせたり、会話をしたりしながら、スマホの外側で人生を作っていってほしいということですね。かなり深い質問で、私自身が答えられるようなことではないかもしれませんが、人と繋がるということが、そういう危機的な状況から人々や子どもたちを救い出すのではないかと私は思っています。