本を読まない子も夢中になる児童書「グレッグのダメ日記」シリーズ。作者・ジェフ・キニー、不登校児へのメッセージは「スマホで世界を狭めないで」
全世界70の言語に翻訳され、シリーズ累計発行部数は2億9000万部を突破している児童書「グレッグのダメ日記」シリーズ。主人公グレッグのなかなかうまくいかない日常の冒険を、日記形式で綴ったユニークな本作。2024年11月には19作目の『グレッグのダメ日記 すごいひみつ』(ポプラ社)が刊行され、作者であるアメリカの児童文学作家ジェフ・キニーさんが約9年ぶりに来日しました。
本作は、本国のアメリカで実写&アニメ映画化されるほどの人気。日本でも「普段は本を読まない子が夢中になる」「“あるある”がいっぱいで共感できる」などと支持されています。ダ・ヴィンチWebでは、新作を心待ちにしている読者に向けてジェフさんのインタビューを実施。子どもたちに必要なことについても考えさせられるお話となりました。 (取材・文=吉田あき 撮影=島本絵梨佳)
19作目にして最高の自信作
――グレッグは将来有名になった時にインタビューを受けなくていいように日記を書き始めた、という経緯がありますね。その作者であるジェフさんご自身は、インタビューはお嫌いではないでしょうか?
ジェフ・キニーさん(以下、ジェフ):面白い質問ですね(笑)。私自身はインタビューが好きで、本当にありがたいことだといつも思いますし、この本を書き始めてからもう16年経っていることもあって、私の話を聞きたい人がまだいてくれることに毎回驚いています。 ――19作目の新作『グレッグのダメ日記 すごいひみつ』では、グレッグの家族の秘密がテーマになっていますね。誰しも周りに言えないような家族の秘密を一つや二つ抱えているものだと思いますが、このようなテーマに決めた理由を教えてください。 ジェフ:秘密っていうのはけっこう本のいいネタになるんですね。というのも、読者の人たちも読んでいるうちに“これって何だろう”と答えを知りたくなるからです。私自身はストーリーテラー(ストーリーを書く人)として優れているとは思わないんですが、今回はこの家族の秘密を面白く書けたんじゃないかと思っています。 ――自信作なのですね。ご自身はどんなところが気に入っていますか? ジェフ:最初にいろいろな情報を隠して秘密を作っておいて、あとで一体どういうことが起こったのかを暴露するような話の流れですね。芸術的な方法で書けたといいますか、今回は書き手として優れた書き方ができたと思っています。 ――おっしゃる通り、エンディングで明かされる内容には驚かされました。あの結末は最初から想定していたのでしょうか? ジェフ:あのエンディングは書き始めてから浮かんだアイデアでした。家族の話をいろいろ書きながら、どんなエンディングにしようかとずっと考えていたんですが、この結末には自分も満足しています。 ――読み手にとっても満足できるエンディングだったと感じます。アメリカでは先に新作が発売されているのでしょうか。 ジェフ:1カ月ほど前に出版されています。 ――では、新作の感想はジェフさんのもとにも届いていますか? ジェフ:はい。メールや手紙で受け取ったわけではないのですが、ネットでレビューを見ていると、読者の方からいい反応があるようで嬉しく思っています。いつも一緒にこの本を制作しているチームのスタッフ…たとえば、アメリカでの私の編集者は「あの本は今までの中でいちばんいい」と言ってくれているし、発売から4週間、売り上げNo.1の地位をずっと維持しています。19作目ということで、これまで自分のやってきたことは正しかったんだと思うと嬉しくなります。