男らしさ、女らしさ…名作絵本に描かれた古いジェンダー観に「モヤッ」としたら、子どもにどう伝えればいい?
子どもたちが最初に触れる物語の一つである「絵本」。昔、自分が大人に読んでもらった絵本を、子どもに読み聞かせすると懐かしさでいっぱいになります。同時に、改めてその内容に触れてみると、「あれ?」と少し違和感を覚える表現に出合うことも……。たとえば、絵本の主人公は「元気な男の子」であることが多く、女の子は主人公を支えるキャラクターとして描かれているなど、性別によって役割が固定化されているように感じることはないでしょうか? そんな絵本の中のジェンダー観に疑問を感じたとき、どのようにフォローをすればいいのでしょう? 絵本コーディネーターの東條知美さんに聞きました。後編<新しい「ジェンダー観」が描かれたおすすめの絵本6冊とは? 「すべてを絵本で伝えようと力まなくていい」>に続く 【写真】世界で最初にズボンをはいた女性は?新しい「ジェンダー観」が描かれた6つの絵本はこちら(全6冊) ■絵本を読んでいて「モヤッ」とする表現に出合ったときは? ――昔ながらの名作やロングセラーの絵本は、男の子が主人公であることが多いですよね。子どものときは何も疑問を持たなかったのですが、大人になってみると、絵本の中に見るジェンダー観について、「モヤッ」とする気持ちになることがあります。 従来の絵本の主人公は圧倒的に男の子が多く、強く成長するまでを描く物語が主流です。一方、女の子には「優しさ」や「家庭を守ること」「やがて素敵な男性と結婚すること」といった役割を求められているストーリーが少なくありません。 絵本の中で「お父さんがテレビを見ながらくつろぐ横で、お母さんが大急ぎで料理をしている」といった描写が見られることもあって、現代を生きる親としては、違和感を覚える人もいらっしゃるかもしれませんね。 ――絵本で描かれる家族の中のジェンダー役割が、当たり前だと思ってほしくない時は、どう子どもに説明すればいいですか? ご家庭で絵本を読み聞かせをしているときに、気になる表現に出合ったら、それについてお子さんと一緒に話をしてみるといいのではないでしょうか。 たとえば、現代にそぐわないようなジェンダーバイアスが描かれていたとしても、頭ごなしに否定はせず、「なぜ、このお父さんはお手伝いしないのかなぁ?」「みんなで一緒にご飯を作れたら楽しいね」など、お子さんと一緒に話をしながら対話のきっかけにしてみるのも一つです。