なぜWBC王者ドネアは鮮烈ボディショットで4回KO勝利を果たせたのか…再戦気運に井上尚弥は「さすがという言葉しか出ない」
プロボクシングのWBC世界バンタム級王者のノニト・ドネア(39、フィリピン)が同暫定王者のレイマート・ガバリョ(25、フィリピン)と11日(日本時間12日)、米国カリフォルニア州カーソンのディグニティ・ヘルス・スポーツパークで統一戦を行い4ラウンド2分59秒、鮮烈の左ボディブローでKO勝利した。14日に両国国技館で防衛戦を行うWBA世界同級スーパー、IBF同級王者の井上尚弥(28、大橋)も「さすがと言う言葉しか出てこなかった」と絶賛。高まる統一戦の気運に「14日をしっかりとクリアしてドネア2を実現させたい」と再戦を熱望した。ドネアの戦績は42勝(28KO)6敗。
考え抜いたボディ戦略
これが39歳のボクシングなのか。 4ラウンド。ドネアの脇腹を横からえぐるような鮮烈の左ボディブローが炸裂した。母国フィリピンの英雄をリスペクトしていた若きチャレンジャーは、思わずリングにグローブを着いてひざまずいた。顔をしかめながらカウントを聞き、一度は、立ち上がろうとしたが、あまりのダメージにまたひざをついた。衝撃のテンカウント。ラウンドの残り時間は1秒だった。 「立ち上がると思った。ハートの強い選手だからね。でも、あのパンチは相当強かったのでしょう」 ドネアは右手でガッツポーズを作ってリングを駆け回りコーナーによじのぼって雄叫びをあげた。 だが、ドネアがレジェンドと呼ばれ尊敬される理由が、次の行動だった。 まだひざまずいたまま立てないガバリョの元に駆け寄り健闘を称えた。 「君はグレートなボクサーだ。落ち込むことなどない。もし私の助けが必要であれば何でもするから」 そう優しく声をかけた。 14歳年下のガバリョは完璧な仕上がりで正規王者に挑んだ。 ドネアの左フックを警戒して距離を保ちながら伸びる左ジャブを軸にスピードとパワーで対抗した。それでもドネアは小刻みなステップで前へ距離を詰めながらコンパクトにパンチを繰り出す。1ラウンドに早くもノーモーションの右ストレートがクリーンヒット。ガバリョはバランスを崩した。 暫定王者は、そのドネアの右に対して左のフックをカウンターで狙ってきた。リスクを考えての戦略である。