なぜWBA世界挑戦者決定戦に判定で圧勝した亀田和毅は第二の故郷メキシコで大ブーイングを浴びたのか?
プロボクシングの元2階級制覇王者でWBA世界スーパーバンタム級5位の亀田和毅(30、TMKプロモーション) が11日(日本時間12日)、メキシコ・エルモシージョで行われた、世界挑戦者決定戦で、元WBA世界バンタム級暫定王者、同スーパーバンタム級10位のヨンフレス・パレホ(35、ベネズエラ)と対戦して3-0で判定勝利。WBA世界同級スーパー、IBF同級王者のムロジョン・アフマダリエフ(27、ウズベキスタン)への挑戦権を獲得した。スピードと左で圧倒して確実にポイントを重ねたが、その消極的なファイトにブーイングが飛んだ。右拳を痛めたのが原因で、「内容的には良くなかった」と認めた亀田は、「来年は絶対に世界チャンピオンになる」と約束した。スポンサーを集めて、自らの公式YouTubeチャンネルで生配信するなど、今回のメキシコでの試合の実現には陰の苦労もあった。
最終ラウンド。ここまでのポイントでは確実にリードしていた亀田は、一発逆転のリスクを避け足を使って動き回り明らかに“逃げ”に入った。その消極姿勢に“第二の故郷”であるメキシコのファンからも、さすがに大ブーイングが起きた。 それでも元WBA世界バンタム級王者で、前WBC世界スーパーバンタム級王者のブランドン・フィゲロア(米)とも2年前に暫定王座決定戦を戦ったことのあるパレホは、猛攻を仕掛けることができず試合終了のゴングを聞いた。 このラウンドは3人のジャッジはいずれもパレホにつけた。だが、発表されたスコアは、「116-112」、「118-110」、「117-111」の大差で亀田を揃って支持。 レフェリーに右手を上げられると亀田は、白いグローブをつけた長男の望有(のあ)君をリング上に招き入れ抱き上げた。メキシコ出身のシルセ夫人との間に昨年5月に生まれた、彼の戦う理由のひとつでもある可愛い一粒種。ベイビーモデルを務めるほどの人気で、亀田は公式Youtubeとは別に望有君をメインにした「のあ&ともきチャンネル」を立ちあげているほどだ。 リング上で2つのマイクを持った亀田は、まず流暢なスペイン語で、ファンに感謝の思いを伝え、大きな拍手を受けると、続いて日本語で、こうコメントした。 「こんな遠くまで来てくれた日本の方々ありがとうございます。今日の試合は、まったく内容的にはよくないですけど、完全に右を治してから次の世界戦へ行きたいと思います」 ネット上でも、大バッシングを受ける“塩試合”となってしまった原因を自ら明かした。