滋賀「セジール」で肉好きをとりこにしてきたあのシェフが東京へ! 経験を重ねたシェフだからこそのイタリア郷土料理に心が震える!
モツは玉ねぎ、セロリ、ひよこ豆、白インゲン、ニンニクを白ワインで3時間コトコト煮込んで一晩寝かせ、仕上げにタイムで香りをつければできあがり。豆が潰れて自然にとろみがつきオリーブオイルと混ざり合ったソースがトリッパに絡んでふわりと口中に広がると、体中が優しい味わいに包まれます。
肉を知り尽くした完璧な火入れは感動を超える一皿に!
パスタは手打ちと乾麺を料理によって使い分けます。修業先の「アカーチェ」で出会い衝撃を受けたと言う「ウンブリチェッリ」は、北海道産の強力粉などを複数の小麦粉をブレンドして打ち上げた生地を一本一本手で延ばします。
ソースはマッシュルームのラグー。大量のマッシュルームをオリーブオイルと塩で約3時間、弱火で煮詰めて味をギュッと濃縮させました。とにかく香りが高い! 茹で上がったパスタと軽く和えるだけというシンプルの極みです。
まるでうどんのように存在感抜群なパスタはモチッとしたところとやわらかいところと歯応えを感じるところがあり、その凸凹した形状がマッシュルームのラグーによく絡み、衝撃的な食感と味わいです。数えるほどの食材でこんなに心が震えるとは! 溝口さんの蓄積してきたセンスと経験が生んだ逸品です。
「本日用意したのは50日熟成の十勝若牛のサーロインです。とてもいい状態で、ここからも熟成が進み、また違ったおいしさを楽しめます」と、溝口さん。
ほどよい熟成香が感じられるよう、全面をしっかり焼きます。まずはフライパンで4~5分焼き20分ほど休ませます。2度目は煙が上がるくらい熱したフライパンで2分ほど満遍なく焼き、再度休ませて中に火を入れていきます。
肉の表面に残った油を落としてカリッとした食感にするために、仕上げはグリルパンで2分ほど焼きます。少し焦げ目がつくくらいの焼き色になったら焼き上がり。
一度も芯温を確認せずにこれだけ美しいロゼ色に焼き上げるのはさすがの腕前。サカエヤの手当を経た「十勝若牛」は肉の繊維が緻密でうまみがしっかりとのり、サーロインならではの脂がバランスよく入り、脂のくどさをまったく感じさせません。食感はサーロイン独特のやわらかさがありつつ歯切れも良い。一度こんな肉を食べてしまったら、どんなに遠くても通ってしまいます。