【インタビュー】『ミナ ペルホネン/皆川明 つづく』展は韓国・ソウルのザハ・ハディド設計のDDPにて最終章へ。
今回の展覧会では、〈ミナ ペルホネン〉が撒いたデザインの種を韓国のアーティストがそれぞれのアプローチで作品にする展示室「水」が新たな要素として加わった。表面的なコラボレーションに留まらず、根底にある想いまで深く重なり合っていることに驚かされる。 たとえばムン・スンジの「巣」と「鳥」の作品では、1枚の金属板から1脚の椅子と18羽のモビールを生んだ。冷たい印象の金属と〈ミナ ペルホネン〉の温かみのあるファブリックは一見対照的でありながら、「持続可能なデザインの哲学」を互いに共有していることが感じられる。 また、韓国にはチョガッポと呼ばれる、はぎれを一針一針丁寧に縫い合わせたパッチワークの伝統的な布があるが、〈ミナ ペルホネン〉も同様に、はぎれをつなぎ合わせたパッチワークの作品をたびたび生んできた。《tambourine》を再構成しパッチワークを施したチェ・ドゥクジュによるチョガッポは、韓国の伝統にも、〈ミナ ペルホネン〉のデザイン哲学の中にも、はぎれを繋ぐことに込められた特別な願いが通底していることを教えてくれる。 「デザインという普遍的な言語を通して、国や文化の壁を越えて友情を深めることができたように思います」(皆川)
韓国での初の展覧会を開幕するにあたり、新しく描かれた作品《Two Horses and Travelers》も披露。本来はメディア向けにライブペインティングの形で公開される予定だったが、その前に完成してしまったという。 「最初は、鳥がたくさんいるような絵を描こうと思っていたんです。そのための下地を塗っていたら、意外とこの下地の感じがいいなと。塗り重ねていくうちに、何かストーリーが欲しいなと思い、2頭の馬とそれに乗る旅人の姿が霧の中から自然と浮かび上がってきました。夢中に描いていたら、ライブペインティングの予定をすっかり忘れてしまっていました(笑)」(皆川) 遠くから眺めた時には霧のように見えた幻想的な風景に目を凝らすと、そこに2頭の馬が見えてくる。遠くからは見えないけれど、近づくにつれて次第に見えてくる旅人たちの出会いの瞬間を、ぜひ韓国・ソウルの会場で間近で見て欲しい。