料理愛好家という肩書きにした理由は…平野レミさんの「料理を好きになる」ために大事なこと
料理は“五感”で幸せを感じられるから最高
小竹:和田さんはレミさんのお料理が大好きなんですよね。 平野:和田さんが私と結婚したときに、「レミの料理をあとどのくらい食べれるかな?」って言ったの。未来って無限の感じがしちゃうから、何十万回も食べられるかと思ったら、計算したところ何万回とかしか食べられなかったのよ。 小竹:うんうん。 平野:だから、私の料理が大好きなことも伝わってきたし、「この人のためにおいしい料理をいっぱい作ろう」と思ったの。 小竹:もともと料理好きだったけど、その言葉を聞いてより一層やる気になった? 平野:そうね。和田さんは私が作った料理をまずいと言ったことは一度もなかった。「ちょっとコクがないかな」みたいに言って、コクを足すと「とってもおいしくなったよ」って言うの。 小竹:褒め上手なんですね。 平野:だから、和田さんのせいというか、和田さんのおかげでこうなっちゃったね、私は。 小竹:ということは、私が料理が大好きなのはレミさんのおかげなので、和田さんがいなかったら私もこの会社に勤めていなかったかもしれないです(笑)。 平野:やっぱり食べることが一番大事よね。幸せになるものね。 小竹:そうですね。あと、作ることも大事ですね。 平野:絵は見ることで目から幸せを感じる。音楽は聞くことで耳から幸せを感じる。料理は目からも口からも耳からも鼻からも、五感で幸せを感じられて、しかも食べられる。 小竹:そして、「ありがとう」っていっぱい言われますもんね。 平野:喜んでもらえてね。だから料理は最高。みんなお料理しなくちゃね。
「料理愛好家」と名付けたのは旦那さん
小竹:レミさんの肩書きは「料理愛好家」ですが、これには何か理由が? 平野:以前CMに出たときに、「料理研究家・平野レミ」と画面に出していいですかって言われたの。それを和田さんに話したら、「レミは研究はしてないよね。愛好家だよね」って言われたの。それで料理愛好家になった。 小竹:和田さんが命名されたのですね。あと、「シェフではなくてシュフ」とも言っていますよね? 平野:それも和田さんが言ったの。最初に出した『平野レミ・料理大会』という料理本の帯に「私はシェフじゃないからシュフの料理を作っています」って和田さんが書いたのよ。 小竹:じゃあ、肩書きもキャッチコピーも全て和田さんが考えているのですね。 平野:だから、和田さんはすごく便利で(笑)。だって、私はシャンソンしかやってなかったのに、料理愛好家としての仕事がこんなにたくさん来るようになったのも、八木正夫さんというジャズピアニストと和田さんが仲良しだったからなの。 小竹:そうなんですね。 平野:八木さんは食通で有名で『四季の味』という雑誌にエッセイを書いたの。それは書いた人が次の人を指名するリレーエッセイだったんだけど、私のことを推薦したのよ。 小竹:はいはい。 平野:私はそのときテレビも出ていないし料理の仕事もやっていなかったから「とんでもないです」って言ったら、「レミさんの料理は簡単でうまいんだから、ぜひ書いて!」って。 小竹:へぇ、すごいですね。 平野:それでも断ってたんだけど根負けしちゃって、「1回だけね」って言って書いたの。それが本屋さんで売られた日から、テレビ局や出版社から「ぜひこういう簡単な料理を作ってほしい」って依頼が来るようになって。 小竹:そんなこともあるんですね。 平野:だから、八木さんのおかげでもあるし、もともとは八木さんと和田さんが仲が良かったからだから、和田さんなのよ。全て私は和田さんなの。和田さんでこうなっちゃった。 小竹:本当に愛を感じますね。 平野:でもね、死んじゃうのよ。死んじゃうんだから。いなくなっちゃうんだから。