都議選圧勝で国政進出は? 小池氏に残された多くの“オプション”
衆院解散は先延ばしか
衆院解散、憲法改正など政治日程への影響はどうだろうか。 一般に、首都決戦である都議選は国政選挙の先行指標とされてきた。たとえば、2009年の都議選では民主党(当時)が大勝し、その直後に政権交代が起こった。2013年には都議選、参院選と続いて自民党が勝利し、「ねじれ国会」が解消された。 したがって、今回の都議選結果から推測すると、次の衆議院選挙でも自民党が議席を失う可能性が大きい。この点を考えると、衆院解散は先延ばしにされる可能性が大きいと考えられる。自民党への「逆風」が止み、少しでも有利な状況が訪れるのを待つ戦略である。一方で、任期満了の2018年12月ぎりぎりまで待ってしまうと、「追い込まれ解散」となり大敗した麻生内閣時の苦い経験の再来となりかねない。安倍首相は、変わりやすい世論の「風」を敏感に読み取り、可能な限りで最大の議席数を見込めるタイミングで解散に踏み切ることになるだろう。 安倍首相が強い思い入れを持つ憲法改正のスケジュールについても、複数のシナリオが考えられる。上記のように次の衆院選で自民党が議席を失うとすれば、憲法改正に積極的な勢力が現在有している3分の2の議席数を下回る可能性も見込まれる。そのため、安倍首相には、現在の衆院議員の任期中に憲法改正の発議を急ぐインセンティブが生じると考えられる。そうだとすれば、安倍首相は、衆院解散をできるだけ延ばし、それまでに憲法改正の発議を行おうとするだろう。 ただし、都議選惨敗に伴い首相の党内求心力が低下してくるとすると、憲法改正の進め方について党内で異論が出てくる可能性も大きい。特に、安倍首相は憲法改正も多数決で進めようという立場のようであるが、これまで自民党内で憲法改正を中心的に担ってきた議員(保岡興治氏、船田元氏ら)は与野党の合意を尊重する立場である。こうした違いから異論が噴出すると、改正作業を安倍首相の想定どおりスムーズに進めるのは難しくなるであろう。