マッチングアプリの恋愛、なぜ難しい? ユーザーたちの「リアルな感想」をさぐる
今年初め、アプリ大手Bumbleの創業者であり、Tinderの共同創業者でもあるホイットニー・ウルフ・ハードは、デートの将来に対する解決策を提示した。それが、AIである。 【写真】夢が現実に♡ 結婚を夢見た有名人と本当に結ばれたセレブ8人 ウルフ・ハードは、アプリユーザーの「AI デートコンシェルジュ」が、さまざまな人の「AIコンシェルジュ」とデートし、そのなかからベストマッチを推薦する、という新たなデートのシナリオを説明。これを聞いて、不安を感じる人、面白がる人、嫌悪感を示す人など、反応はさまざまだったが、多くの人はこれが暗黒的な世界観を描いたNetflixのドラマ『ブラック・ミラー』の筋書きのようだと指摘した。 私たちの世界で身近な存在となった"出会い系アプリ"は今、どのような地点に立たされているのだろうか?
アプリの出会いは「退屈、中毒性がある、非生産的」といったユーザーのコメントも
そもそも、私たちはなぜ、このような状況に陥ってしまったのだろうか。少しだけ振り返って見てみよう。2020年春、新型コロナウイルスが米国全土で蔓延するなか、出会い系アプリの利用が急増した。Bumbleのビデオ通話機能では、アクティビティが70%増加し、バーチャルデートに出かけるOkCupidのユーザー数は7倍にも跳ね上がった。Tinderユーザーによる1日のスワイプ数は全世界で30億回、アメリカの人口の9倍という記録を打ち立てた。 あれから4年、今思い出されるのは、自然、文化、そして市場の最も永続的なパターンのひとつであるS字曲線だ。これは好景気には必ず対応する不景気があり、繁栄期には必ず衰退期があるというものである。1000万人いたTinderの有料会員数は、2023年に四半期連続で減少を見せ、最終的に8%減少した。2023年末までに、Tinder、OkCupid、Hingeなどオンラインデートサービスの最大ポートフォリオを運営する「Match Group」の株価は、2021年のピーク時の約5分の1にまで暴落した。Bumbleの株価も2021年2月のIPO以来、85%も下落している。 2024年の出会い系アプリは、失敗の時代にあると言っても過言ではない。10年前に登場したこれらのアプリは、利便性、そして愛やセックス、パートナーシップの探求における非効率の解消に対応した。しかし今日(オンラインでもオフラインでも)デートをする人々は、主流のアプリでよく提供されているユーザー体験について「退屈、中毒性がある、非生産的、さらにはとにかく苦痛でしかないことすらある」と嘆いている。その一方で「アプリを使い素晴らしいパートナーに出会えた」と言う人もいる。 "良いアプリ"でお馴染みながら、「ローズジェイル」で悪名の立ったHingeのように、「まじめなアプリ」や「良心的なアプリ」でさえも非難の対象となった(ローズジェイルとは、ユーザーが最も相性がよさそうだと感じたプロフィールを有料で管理するという、アプリの機能に対する造語)。