「白目の面積を大きくする整形手術を受けた」37歳女性がお化け屋敷で“驚かせること”に人生を賭けるまで
武蔵美に進学。しかし、わずか3日で…
大反対を押し切って上京した今出氏だが、武蔵野美術大学に通学したのは3日ほど。入学早々にあっさりと辞めたのは、こんな頓狂な理由だ。 「当たり前なんですが、美大のメインは美術なんですよね。ホラーではない。もっとホラーにのめり込みたかった私にとっては、空気感が違ったんです」 そんなわけで一時的に実家へ舞い戻ったのも束の間、今出氏はすぐに1つの専門学校の門を叩く。 「ゲームクリエイターの専門学校のなかから、非常にスパルタで有名で、高い技術力を身につけられる学校を選びました。頑張った甲斐があり、特待生での入学でした。やる気と技術のない者はどんどん去っていくような場所です。卒業制作の発表会では多くのゲーム会社を呼ぶのですが、実質的な“ドラフト”の場になっています。企業は即戦力になる人間に目を光らせているので、自分をアピールする必要があります」
ゲームメーカーに就職。憧れのゲームにも携わる
寝ても覚めてもホラーゲーム制作の勉強に没頭した今出氏は、厳しい指導にも耐え抜き、志望していた企業からオファーをもらうことができた。ゲームクリエイターとしての今出氏はまさに順風満帆。一度の転職を経験したそのトータルキャリアで、憧れのゲームにも携わることができたという。 「『零 月蝕の仮面』『ロリポップチェーンソー』『シャドウオブザダムド』『VRホラー 囁き』など、ありがたいことに比較的有名なホラーゲームに携わらせてもらえました。自分が学生時代にプレイしたこともあるシリーズなどに関わるのは高揚感がありましたね」 だがそのキャリアをゼロにしてまで、今出氏はアナログなお化け屋敷制作の道を進む。そのきっかけは衝撃的なものだった。 「(東京都杉並区)方南町に『オバケン』という有名なお化け屋敷があります。当時最先端だったVR制作の参考になればと思い、訪れたその場所で、生身の人間が演じるお化けのあまりの怖さに私は打ちひしがれ、同時に羨望を覚えました。私たちはリアルに見えるデジタルツールを開発していましたが、実体がそこにあるお化けの臨場感や迫力には、どうしても勝てないと思ってしまったんです。そのまま、演じていた岩名謙太に弟子入しました」