「白目の面積を大きくする整形手術を受けた」37歳女性がお化け屋敷で“驚かせること”に人生を賭けるまで
“進学校だけど”親身になって答えてくれた
教職者の父と、薬剤師の母。地方都市の伝統的で教育熱心な家庭で育った今出氏は、地元の進学校に入った。高校1年生のときの進路相談でのエピソードは微笑ましい。 「進学校なので、地元・広島大学はもちろん、東京の早慶を目指す子もたくさんいる環境でした。が、私は幼少期から変わらずホラーにのめり込んでいて(笑)。それまで私が体験したお化け屋敷、明らかな機械仕掛けのものが多かったので、『もっと本格的なお化け屋敷を自分で作りたい』という夢がありました。しかし調べた限り、お化け屋敷を作る専門学校のようなものはありませんでした。そのことを進路指導の先生に打ち明けると、先生はこんなふうに言いました。『この夏、エキスポランド(大阪府吹田市)に夏限定のお化け屋敷がオープンするらしいぞ。まずは行ってみろ、話はそれからだ』って(笑)。進学校の生徒がするような相談ではないのに、かなり真正面から答えてくださったその先生のことは、今でもやり取りするくらい信頼をしています」 高校時代の今出氏も今と変わらぬ生粋の行動派。先生の助言通り、夏休みを利用して“視察”に行った。 「そこでみたお化け屋敷は人がきちんと演じていて、しかもコンセプトがしっかりしていたんです。『恐怖を楽しんでもらいたい』という純度の高い思いが伝わってきました」
「夢のために家族を捨てるのか?」と父から言われた
だが前述の通りお化け屋敷を制作する専門学校はなく、今出氏はホラーゲームクリエイターになるという夢にシフトチェンジした。ホラー好きが高じて画集なども持っていた氏は、美術にも造詣があった。そこで大学は美術の名門・武蔵野美術大学へ進学することになる。だがここで、問題が起きた。 「良くも悪くもクラシカルな家庭の雰囲気があったので、東京の大学へ行くことに両親はいい顔をしませんでした。結局、散々話し合いをして、ときには怒鳴り合いになり、私は『ホラーゲームを作る』という自分の夢のために実家を離れる選択をしました。 父などは『なんでそんなにホラーばかりに傾倒しているんだ! ゲームという夢のために家族を捨てるのか?』とか言い出したりして。小さい頃のクリスマスプレゼントもホラーゲームだったのに(笑)。そんなわけで、両親がなってほしいと願う娘にはなれませんでした」