宇佐美 “3”度目の正直にかける決意
日本代表チームの背番号を決めるときには、選手に希望をまず聞く場合が多い。2年4ヶ月ぶりに代表復帰を果たしたFW宇佐美貴史(ガンバ大阪)は、チームスタッフにこう言った。 「『33』か『39』でお願いします」 すかさず「大きくても『30』までだ」とダメ出しをくらう。間髪入れずに宇佐美が返した。 「じゃあ『30』でお願いします」 ヴァイッド・ハリルホジッチ新監督のもと、大分市内で行われているキャンプ3日目の25日。前日に続いて冒頭15分間以降が非公開となった練習中に、チュニジア戦とウズベキスタン戦に臨む背番号が発表された。 宇佐美は念願かなって『30』をゲットしたが、ちょっとおかしい。招集された31人からDF長友佑都(インテル)とFW興梠慎三(浦和レッズ)が故障で抜け、代替メンバーは指名されていない。 現状で練習に参加しているのは29人。背番号『1』のGK川島永嗣から順に並べていくと、『29』が空き番となる。それを承知のうえで、最も大きな番号を選んだ理由を宇佐美は笑いながら明かしてくれた。 「僕にとって『3』はラッキーナンバーなんですよ」 ガンバでトップチームに昇格した2009年とホッフェンハイム時代の背番号が『33』ならば、ブンデスリーガから復帰した2013年途中に自ら希望した『39』をいまも大事にしている。どのような縁で幸運を感じているのか。占いの本か何かかという問いを、宇佐美は「ちゃいます」と笑顔で否定した。 「何かいいことが起こったときに、後々考えると『3』が絡んでいることが多いんですよ。三兄弟の3番目とか、バイエルン・ミュンヘンに移籍して最初に決めた点が33秒ジャストでしたし、ガンバで最初にもらった背番号もそうですよね。言い出したらきりがないですけど、自然と『3』に愛着がわいてきて、いまでは一番好きな番号ですね」 家族が望んだガンバで怪童の異名をとり、ジュニアユースから将来を嘱望され、年代別の日本代表に選出されてきた宇佐美が描いてきた人生の設計図にはある時期まで、昨夏のW杯はこう記されていた。 「出場するのは当然で、実際にピッチの上で何かできるかが問われる大会」 ザックジャパンには2度招集されたが、いずれもベンチを温めただけで終わった。昨シーズンの開幕前に負った左足首の大けがで、夢も断たれた。三冠独占を達成したガンバの原動力となり、周囲から招集待望論が沸き上がった活躍を見ても、ハビエル・アギーレ前監督は3トップの左に武藤嘉紀(FC東京)と乾貴士を招集し続けた。 3年後に行われるW杯ロシア大会を、宇佐美は「代表として出場しなければ話にならない」とまで言い切る。 「まだ(代表)キャップがついていないので、とにかくデビューしたいという気持ちが強い。デビューしたら、そのなかで感じることはすごく多いと思うので。今回はそれができればベストですね」