「誰にも看取られたくない」貴乃花光司50歳が明かした“不審続き”の人生
これまでの50年を表してもらうと「不審の50年」だという。 「不審続きでした。点数をつけるとしたら、50点に1点足りない49点です。誰にも看取られることなく、一人でこの命を燃やし尽くせて終われたならば、残りの1点を埋められるような気がします。自分の屍(しかばね)だけは誰にも見られたくないです。自分の人生の生きざまではなく、生き様(よう)として、どうせ一人ですから、このまま最後までいってやろうと。そこに幸せを求めたいとは思わないです」 「もし生まれ変わったら? 貴乃花ではなく、次は自分という過去の記憶がない人として存在してみたいです。貴乃花は、親の四股名を残せたというだけで、自分の名前であって自分の名前ではないので、今度はまったく別の名前をもった人としていられればなと。戦いの記憶もない、受け継ぐものもない、まっさらで目には見えないものになりたいです」
貴乃花光司(たかのはな・こうじ) 本名・花田光司。1972年、東京都生まれ。15歳で入門、18歳で当時の横綱千代の富士から初金星を挙げた。20歳で大関、22歳で横綱に昇進。2001年5月場所千秋楽での武蔵丸との優勝決定戦を制したときの「鬼の形相」は相撲史に残る名場面。2003年に現役引退。その後は一代年寄「貴乃花」を襲名。2010年から日本相撲協会理事を務めたが、2018年10月に退職。その後、一般社団法人貴乃花道場を立ち上げた。現在は講演、大学特任教授として学生への指導や相撲文化の普及活動を行っている。 【RED Chair】 ひとりの人生を紐解く『RED Chair』。先駆者、挑戦者、変革者など、新しい価値を創造してきた人たちの生き方に迫ります。