なぜ甲子園凱旋のBIGBOSS新庄は阪神に6点差の逆転負けを許したのか…成功した奇策と堅実を見失ったツケ
矢野監督は一死満塁から島田の2球目に負けじとスクイズのサインを送った。「一番点を取れる方法を考えた」と、試合後に矢野監督は説明したが、高代氏は「新庄采配の刺激を受けたと思う」と推察した。結果、ファウルとなり失敗したが、堀が、さらに動揺したのか、結果的に決勝点となる押し出しの四球を与え、ここで新庄監督は、交代を告げたが、近本のダメ押しのタイムリーまで出て、BIGBOSSにとってあまりにも重い4点がスコアボードに刻まれた。 試合後、矢野監督は「興奮した。全員でオレたちの野球ができた。全員がヒーロー。今シーズンで一番うれしい」と笑い、スポーツ各紙の報道によれば、新庄監督は、「負けたのは、うちの実力だが、ファンには面白いゲームだったんじゃないか。選手たちは幸せで、財産になる。懐かしいし、なんかジーンとくるものがあった」と爽やかなコメント。ただ「勝負して打たれるのはいいが、四球で点を与えたのは反省点。直していかないと成長できない」と苦言を呈した。 高代氏は、敗れたものの「新庄監督の指導、教育が、チームを変えつつある」と評価した部分が、もうひとつある。それは外野手の守備力だ。 「試合前のシートノックをチェックしたが、最後の外野手のバックホームで全員が思い切りチャージして送球していた。ここまでチャージしてくるチームを見たことがない。試合になっても同じように外野手は打球に対し凄いチャージをかけていた。5回に先頭の長坂の右中間への打球を三塁打にしてしまった万波のチャージも紙一重のプレー。阪神は8回に満塁から山本、近本の2本のタイムリーが出たが、6回には回した藤本コーチが、一転、二塁走者をすべてストップさせていた。万波に代表されるようなチャージと強肩の外野手を日ハムは揃えている。キャンプから新庄監督が取り組んできた教えの成果だろう」 何をやってくるか予測不能の新庄野球。甲子園凱旋試合の第二幕が楽しみだが、高代氏は6点差をひっくり返し今季本拠地最多得点を更新した阪神に勢いを感じるという。 「浮上へのきっかけになるような逆転勝ちだったと思う。試合後に、矢野監督は、楽天戦(5月26日)で長坂に代走を送らなかった反省を口にしたそうだが、采配も積極的に変わった。まだ上位チームも抜け出すところまでいっていない。この調子で立て直せば、秋口には、優勝戦線に食い込んでいくことも不可能ではない。明日は最も安定感のある青柳。新庄監督がどういう戦略で崩そうとするのか。そこにも注目したい」 今日4日のマッチアップは阪神が青柳、日ハムが杉浦となっている。