日本国民全員が1年に5食も食べている…おなじみの「国民的冷凍食品」に隠された「スゴすぎるこだわり」
生地を丁寧に「鍛える」
「テーブルマーク魚沼水の郷工場」では1日に100万食以上の冷凍うどんの製造が可能である。うどん専門店顔負けの冷凍うどんはどのように作られているのだろうか。 まずは小麦粉と塩水をミキサーにかけていく。真空状態で混ぜ合わせることがポイントだ。小麦粉と塩水の馴染みが良くなり、良質な生地になる。混ぜ合わされた生地は帯状にまとめられ、圧力がかけられていく。機械によって一気に、うどんの厚みになるまで圧力をかけることも可能だが、それではグルテン由来のコシは生み出されない。職人が足踏みで生地を鍛えるように、少しずつ圧力をかけていく。 鍛えた生地はしばらく熟成させ、ストレスを緩和させる。休ませた生地はうどんの厚みになるまで、再び丁寧に延ばされていく。こうすることで、表面がなめらかでつややかなうどんになる。
「讃岐うどん」としてのこだわり
ようやく、麺の裁断に入るのだが、ここでもポイントが。機械で一気に押し出すのではなく、1本ずつ包丁切りをしているのだ。こうすることで麺の角が立ち、つゆの絡みが良くなるほか、もちもち食感となめらかなのど越しも実現される。 最後が麺を茹でる工程だ。切りたてのうどんは何層もの大釜を移動し、泳がせながら茹でられる。ここでもストレスが抑えられ、ねじれの少ないつるつるとした茹で上がりになる。茹でたてを水でしっかりと締めたあと、1食ずつトレイに載せて急速冷凍。こうして、スーパーやコンビニの売り場で見るような冷凍うどんが出来あがる。 「カトキチの冷凍うどん」は年間6億食まで製造数が伸びた今でも、発売当時に念頭にあった「讃岐うどんとしてのこだわり」をそのままに持ち続けている。50周年を機に行われたリニューアルに際しては、香川県中のうどん店の麺幅と麺厚を調査したそうだ。データをもとに麺幅と麺厚の分布図を作成し、その真ん中に「カトキチの冷凍うどん」が来るように麺により厚みを持たせた。各家庭の冷凍庫に鎮座する「お馴染みのうどん」のウラには長い歴史とたゆまぬ企業努力、進化していくこだわりがあった。
現代ビジネス編集部