性をタブー視せず、大人になるからだを受け止めて――障害のある子どもへの性教育 #性のギモン
大事なのは、大人が性をタブー視せず、ポジティブに捉えること
障害のある子どもや青年の性教育に携わってきた、日本福祉大学准教授の伊藤修毅さんに話を聞いた。 「そもそも性教育を、すべての児童生徒が受けられるわけではない現在の状況は問題です。障害者権利条約第23条は、障害のある子どもや若者が性に関する教育を受ける権利を明確に謳っています。“生理教育”や“性器教育”止まりの性教育や、性行動を抑え込もうという方向性ではなく、人権や自己肯定感の問題までを含めた包括的性教育を受けることは、たいへん重要です」 伊藤さんは長年この問題に習熟してきた立場として、高樹さんや岡野さんと同様、大人が性についてタブー視せず、前向きに、ポジティブに捉えていくことが大事だと考えている。 「性行動を否定的に、抑えるべきものとして捉える大人が変わらないといけないですね。性器“いじり”と言うとか、マスターベーションも『どうしたらやめさせられますか』と否定しがちな大人が多い。ネガティブなものとして伝えると、彼ら彼女らが性の問題で困ったことになっても、周りに相談できなくなります。例えば性器いじりではなく、触れる力のほうが大事なので、『性器タッチ』と言う。きちんと触れ合えることが大事なので、私は『他人とは腕一本離れてパーソナルスペースを取ろう』という表現も使いません。心地よい触れ合いを経験していけば、次第に不快な触れ合いも分かってくる。自分の『不快だ、イヤだ』が尊重されると、他の人の『不快』も理解できる。そうして、子どもたちみんなが将来、豊かで幸せな性行動を取れる大人に育ってほしいと思います」 --- 「#性のギモン」は、Yahoo!ニュースがユーザーと考えたい社会課題「ホットイシュー」の一つです。人間関係やからだの悩みなど、さまざまな視点から「性」について、そして性教育について取り上げます。子どもから大人まで関わる性のこと、一緒に考えてみませんか。