NTTドコモに『Jリーグ部』が発足!? トップパートナーとして共創する日本のサッカー文化
7月27日、Jリーグクラブとヨーロッパの強豪クラブが対戦する「明治安田Jリーグワールドチャレンジ2024 powered by docomo」(以下、JWC)が昨年に引き続き国立競技場で開催された。J1王者のヴィッセル神戸とプレミアリーグのトッテナム ホットスパーが対戦した本大会は54,255人の入場者数を記録。今夏に開催された欧州クラブの来日親善試合は集客に苦戦したものも多かった中で、JWCが興行的に成功した要因は何だったのか。JWCをJリーグと共催した株式会社NTTドコモの独占インタビューをお届けする。 今回話を伺ったのは、NTTドコモ側の大会責任者である鈴木彰訓氏、グッズを担当した後藤優太朗氏、チケットを担当した横山輝氏の3名。それぞれの立場からJWCを振り返ってもらった。 インタビュー・文 玉利剛一(フットボリスタ編集部)
スポーツとエンタメの融合
――JWCの開催決定経緯から伺わせてください。2023年のJWCは「前年(2022年)12月頃にJリーグから打診された」と昨年実施したインタビュー でお聞きしましたが、今年の大会はいつ頃に開催を決定されたのですか? 鈴木「Jリーグさんとのコミュニケーションの中で『(JWCの)定例化を目指す』ことは共通目標として持っていたので、昨年大会のレビューを行った(2023年)年内のタイミングでは『今年度の経験を活かして2024年も開催しよう』と話していました」 ――今年はUEFA欧州選手権(ユーロ)やコパ・アメリカがJWC直前まで開催されており、各国代表の選手は来日が確約される状況ではありませんでした。そうした背景はドコモ社的にJWCの主催を検討する上で影響しましたか? 鈴木「いえ、来日する欧州クラブや選手の知名度に頼らずに大会自体の魅力を高めることはJリーグさんと取り組んでいることの1つなので、ユーロやコパ・アメリカが開催されることによる影響はありません」 ――その大会の魅力を高める具体的なアプローチの1つが、グローバル・ボーイズグループ「NEXZ(ネクスジ)」のライブパフォーマンスですね。 鈴木「はい。ドコモとして目指している“スポーツとエンタメの融合”の一環として企画したものです。JWCと同時期に開催した『Jリーグインターナショナルシリーズ2024 powered by docomo』(以下、JIS)の横浜F・マリノス対ニューカッスル ユナイテッドではME:I(ミーアイ)さんにも出演いただています。今回は音楽のミニライブでしたが、来日した欧州クラブに関連したご当地料理を提供するフードフェスを開催しても楽しいでしょうし、来年度以降もJWCやJIS、スタジアム自体が魅力あるものであるイメージを作りたいですね 」 ――今夏はJISとして4試合(①京都サンガF.C. – VfB シュトゥットガルト ②サンフレッチェ広島 – VfB シュトゥットガルト ③浦和レッズ – ニューカッスル ユナイテッド ④横浜F・マリノス – ニューカッスル ユナイテッド)もJリーグと共催されています。関東圏だけではなく、広島と京都でも開催されました。 鈴木「欧州クラブの来日試合は東京や大阪で開催されることが多いですが、Jリーグのトップパートナーとして全国のJクラブと様々な提携をする中で、大都市だけではなく全国にサッカー文化を根付かせたい想いを持っています。その具体的なアクションとして今回は広島と京都で開催させていただきました」 ――なぜ開催地として広島と京都が選ばれたのですか? 鈴木「サンフレッチェ広島さんは8月6日前後の試合を『ピースマッチ』として開催し、サッカーを通じて核兵器の廃絶と世界恒久平和の実現に向けた発信をされています。欧州クラブとの親善試合をピースマッチとして開催することは意義があることだというのは関係各所の意見が一致したことです。実際、サンフレッチェさんのプロモーション協力もあり、2万人を超える入場者数を記録したので新しいファン層の開拓面においても一定の貢献はできたのではないでしょうか。京都サンガさんはフットボール専用の素晴らしいスタジアムを持たれていますし、広島への移動距離が短いという点もポジティブな要素として(対戦相手として)決定したという経緯ですね」