ヘビー級のバーベルを「上げる」力持ち、その「力の大きさ」はどう表す?…バーベルの「キログラム」ではありません
あっと驚く面白さ。誰でも理解できる爽快さ。 アメリカの大学で長く物理学の人気教授として活躍してきた山田克哉さんの「白熱講義」から生まれた、ブルーバックスを代表する人気企画「からくりシリーズ」。 そのシリーズ最新刊である『重力のからくり』がベストセラーとなっています。「弱すぎる重力」はなぜ、宇宙を支配する力になりえたのか? 万有引力のふしぎを徹底的に解き明かす同書の読みどころを厳選してお送りします! *本記事は、『重力のからくり――相対論と量子論はなぜ「相容れない」のか』の内容から、再編集・再構成してお送りします。
ニュートンが与えた「力の定義」
前回の記事で紹介したように、物体を加速するためには、その物体に力を加えつづけなければなりません。すなわち、加速の原因は力です。ここであらためて、「力」とはなにかについて考えてみましょう。 「力の定義」は、ニュートンによって与えられました。ニュートンは、 物体を加速するには力を加えつづけなければならないこと、物体の加速/減速のしやすさ(しにくさ)は慣性質量に依存すること、 という2点から、物体に与える「力」(「force」の頭文字から「F」と表す)、その物体の「慣性質量(m)」、そして「加速度(a)」の3つの物理量のあいだに密接な関係があるはずだと判断し、これら三者の関係式(数式)を導き出したのです(式1)。式1F=ma 式1は、「力」というものが「慣性質量と加速度の積」に等しいことを表しています。これは、実験観測に基づいて得られた「力の定義」です。
必要な力は?
質量1kgの物体に力(F)を加えつづけた結果、その1kgの物体の速度が毎秒1m/sずつ増えたとします。これは、1kgの物体の加速度が1m/s²ということです。 それでは、1kgの物体が1m/s²の加速度で加速されるためには、どのくらいの力を加えつづけなければならないでしょうか? 答えは式1が教えてくれます。