【現地発ルポ“斎藤前知事現象”】増殖中の支持者に共通する「メディア不信」「大多数がSNSで情報収集」 本人も告白「応援が増えているのは実感しています」
東京都知事選では無名の新人候補だった石丸伸二氏(前安芸高田市長)が165万票を集め小池百合子氏に次ぐ2位と躍進した。SNSを中心とした選挙戦は“石丸現象”として話題になった。 兵庫県知事選では元尼崎市長の稲村和美氏など7人が乱立。知名度で群を抜く斎藤氏のSNSを中心とした人気が高まれば“台風の目”となる可能性はあるだろう。 斎藤氏は三宮駅に立った翌日には姫路・加古川・明石駅前で辻立ちを行なった。各所で40人、50人と握手を求める人の長蛇の列ができていた。 「当初は『人殺し』など罵声も浴びたが、最近は応援する人が倍々で増えた。ボランティア希望も多い。斎藤自身も予想外で戸惑っている」(後援者) 日本維新の会の地元議員はこう危機感を語る。 「情けないのはいち早く“斎藤降ろし”に動いた自民党です。いまだ独自候補を立てられない。彼がここまで意地を張るとは誰にも予想できなかった。脅威ですよ」
「私は強い人間ではない」
当の本人は、今の状況をどう受け止めているのか。斎藤氏に話を聞いた。 「コーヒー……、いや止めておきます」 ウェイターに注文を聞かれた斎藤氏は一瞬、逡巡の表情を見せた。取材でも“おねだり”した、と誤解されることを気にしたのだろうか。
──街頭で「人殺し」などとも言われたとか。 「そういう感じでもなく……。やはり報道を見て悪人と思われるところがあった。私自身も良くなく、ハラスメントと疑われても仕方がないことをした。反省をしています」 ──文書問題では元県民局長が自死された。 「亡くなられたことは大変悲しい。心からお悔やみを申し上げたいし、辛い思いがすごくある」 ──毎日、辻立ちを? 「最初は須磨駅から始めたのですが、すごく緊張した。(文書問題などで)直接県民の皆さんと接することがなかったので」 ──SNSでは擁護の声が増え、辻立ちにも人が群がっている。 「応援していただいている方が増えていることは感じています」 ──“石丸現象”のようなことが起きている? 「石丸さんの選挙はしっかりした体制のなかでやられた。私自身は組織や支援もない一人なので比較できない。私自身は器用な人間ではなくSNS受けするタイプでもない。人を断じたり、派手なこともできない。役所出身というのもあるかもしれません」 ──いろんな方から手紙をもらうことが多い? 「今日も5通頂きました。全て目を通しています。(出馬で)自分の道を貫かせていただいたことを応援していただけている。私も決して強い人間ではない。世の中にはすごく辛い思いをしている方が多く、私の状況に何かを感じている方が多いのだと思っています」 混迷のなかでの出直し知事選。兵庫県民はどのような審判を下すのか。 【プロフィール】 赤石晋一郎(あかいし・しんいちろう)/ジャーナリスト。「FRIDAY」「週刊文春」記者を経て2019年よりフリーに。近著に『韓国人、韓国を叱る 日韓歴史問題の新証言者たち』(小学館新書)、『完落ち 警視庁捜査一課「取調室」秘録』(文藝春秋)。『元文春記者チャンネル』をYouTubeにて配信中。 ※週刊ポスト2024年11月1日号