東洋アルミニウムがインド拠点を移転拡張。医薬品包装の能力倍増、中東地区に営業・加工拠点も
東洋アルミニウム(社長・楠本薫氏)は、来年上期中をめどにインドの医薬品包装材料子会社スバム・トーヤル・パッケージング・インダストリーズ(本社・ニューデリー)を移転拡張する。現地で拡大する医薬品包装需要を捕捉するため、生産能力を2倍以上に引き上げるとともに機能性材料の生産も始める。また今期中に中東・北アフリカ市場への販売強化を目的に中東地区に営業・加工拠点を開設。東南アジアから北アフリカまでのエリアで医薬品包装材料を拡販する。 スバム・トーヤルは外部から調達したアルミ箔をもとに医薬品用包装材料を製造するインドの大手包装材メーカー。東洋アルミは2018年に株式33・4%を取得して合弁化し、さらに21年には出資比率を51%まで高めて子会社化した。その後も販売量は順調に拡大していたが、既存工場に拡張余地がなかったため、既存工場から車で数時間のエリアに土地を購入し、移転拡張することを決めた。 新工場は来年上期中に竣工する見通しで、既存工場から設備を移設した上で量産稼働に移る予定。既存工場は閉鎖する。移転拡張により医薬品包装材料の生産能力は2倍以上に拡大するとともに、品質向上も推し進め製薬メーカーの厳格な監査に対応する。 またこれまではインド市場で一般的なアルミ箔を重ね合わせた包装材のみを手掛けていたが、新工場では従来のメイン事業であるPTP包装材料以外の医薬品包装材料も製造する。また吸湿性能を持たせた独自の包装材料「トーヤルドライ」などの機能性包装材料を増販し、新規需要の開拓につなげる考え。 エリア戦略では中東・北アフリカへの供給体制強化を目的に、今期中にも中東地区に拠点を設立する。営業機能のほかスリッターを設置し、インドから輸入した包装材をタイムリーに出荷できる体制を整える。渡部正照専務は「中東・北アフリカへの供給は従来から手掛けているが、中継基地を開設してデリバリーを強化することで、インドからの輸出量をさらに伸ばしたい」とした。