「首をボキボキすると脳卒中になる?」カイロプラクティックの危険性を米心臓病医師が警告
今年初め、予防心臓病医のダニエル・ベラルド医師は、米ロサンゼルスのプレシジョン予防心臓病学センターで普段通りの勤務をしていた。すると、そこへ脳卒中の急患が。ベラルド医師は驚いた。全くもって健康で、脳卒中を匂わせるような病歴もない若い女性が一体なぜ? でも、その女性が同日の朝、カイロプラクティックの施術を受けたと聞いて全てが腑に落ちた。 【写真】脳卒中を予防する8つの方法 この女性は、カイロプラクティックで首の矯正を受けた際、施術台の上でBIFFLグレードIIの椎骨動脈解離を起こしていた。ベラルド医師いわく、これは「非常に重度の解離」。椎骨動脈解離で椎骨動脈の壁が破れると、脳に正常通り血液が送られなくなり、脳卒中が生じる。この女性は、矯正後すぐに視力が低下。歩行が困難になり、体の片側に力が入らなくなっていた。 ※この記事はアメリカ版ウィメンズへルスからの翻訳をもとに、日本版ウィメンズヘルスが編集して掲載しています。
首の矯正に潜む危険性
首(頸椎)の矯正は、カイロプラクティックの施術の1つ。脊椎の上部を“調整”することで、筋肉の緊張や痛み、頭痛を和らげるというものだ。この施術の中で首を急激に回転させたり伸ばしたりすると、あの“ボキボキッ”という音がする。米国カイロプラクティック協会からのメールによると、これは「首の痛みや頭痛に対する、安全で効果的な非薬物療法」 その一方で多くの医師は、過去の研究で証明されている通り、首の矯正から長期的な効果や他の療法(理学療法など)と同じ効果は得られないと主張する。また、ベラルド医師に言わせると、首の矯正で得られる効果は自分で首を揉んだときと変わらないので、脳卒中の危険を冒してまで受ける価値はない。
話し合いが大切
カイロプラクティックを訪れる側の私たちは、首の矯正を受ける前に施術者とよく話し合い、どのようなリスクがあるかを理解してから、そのリスクを取るかどうかを決めることが大切。ニューヨークに拠点を置く血管外科医のサレ・ラジャエ医師は、「施術者と情報を共有し合い、しっかり納得したうえで同意しましょう」とインフォームド・コンセントの重要性を強調する。パレンテ医師も、ヘルスケアにおいてカイロプラクターが無用だなどと思っていない。ただ、首の矯正に関しては、「リスクが大きすぎる」ので避けるべきだと繰り返し主張している。