<安保法制>公明党・遠山清彦議員に聞く 集団的自衛権の行使の条件とは?
ホルムズ海峡での機雷除去は可能なのか?
質問:ホルムズ海峡での機雷除去の例ではどうですか? 遠山:私自身はホルムズ海峡の例というのは、起こる可能性がゼロとは言えませんが、極めて可能性が低い事態なので、この「存立危機事態」を説明する例としては国民の皆さまの理解を得るのにあまり適切だとは思っておりません。まずはそれを申し上げたいと思います。 なぜならば、ホルムズ海峡の機雷の例なんですね。これは、2つの特殊な要素があります。1つ目の特殊な要素は簡単です。ホルムズ海峡って日本からものすごく遠いんですね。ですから、ホルムズ海峡で起こったことが日本の国民の暮らし、あるいは命、自由、幸福追求権に大きな影響を及ぼすというのは、普通はにわかに考えがたいという問題です。2つ目は、機雷を巡る問題だということなんです。これは、一般の国民の皆さん、なかなか想像したことないと思うんですが、機雷を海でまくというのはどういうことかというと、これひと言で言うと、法律的には武力攻撃なんですね。しかもやっかいなのは、機雷をまいた海を通る船、その船を持っている国、全部に対する宣戦布告なんです。 だから、例えば、ホルムズ海峡というのは世界中の船、タンカー、日本だけじゃないです。もう何十カ国の船が毎日通ってる海峡ですから、そこにどこかの国が機雷をまきますと、そのホルムズ海峡を通ってる国全部に宣戦布告なんですね。なぜかっていうとご承知のとおり機雷っていうのは船が当たったらぼんって爆発してしまいますので、ってことはその海峡通る船、その船を持ってる国、全部に対する宣戦布告なんです。よって、日本に対してもホルムズ海峡、タンカー通ってますので、ある意味宣戦布告になってしまいます。
で、機雷をまいた国がやっぱり戦争やめた、と。攻撃、いろんな国に攻撃するのやめた、と宣言をして停戦合意をすると機雷は武器ではなくて海に浮かんでいる障害物になります。障害物を自衛隊が取り除いてもいいんです。今でも。今でもっていうか、法改正しなくてもできます。道路に置いてある障害物を警察がどけるのと一緒で、自衛隊がその海まで行ってどけるのは、これなんの問題もないんです。問題は何かというと、機雷をまいた国がまだ戦争やめないと言っている状態で、かつ日本の船もそこを通ったら爆発してしまうので通れないという状況になってると。そのときに国連か、ほかの外国諸国か分かりませんが、自衛隊も優秀な掃海艇を持っていますので、ぜひそれを派遣して機雷を除去してくれと。そうすると、まだ停戦合意ができてないときに機雷の除去を始めますと、機雷をまいた国から見ると、「あっ」と。日本はわれわれの武力攻撃に反撃をしたと見なされると。そうすると日本はその国と交戦状態に入りますので、海外での武力行使や戦争を禁じた憲法に抵触してしまうかもしれないと。 じゃあ、抵触しない解釈というものはどういうときに成り立つかというと、新3要件に合ってるときなんですね。じゃあ、新3要件に合ってるときっていうのはどういうときかと言うと、何度も繰り返しで恐縮ですが、日本の国民の生命と自由と幸福追求権が、根底から覆されるときなんです。その明白な危険があるときだけなんです。 で、そこで議論になるのは、じゃあ、ホルムズ海峡で機雷がまかれて日本の石油タンカー、天然ガスタンカーが日本に到達できなくなりましたと。その結果として経済、生活の混乱が日本で生じた。その混乱の度合いがこの3要件で言うところの国民の命を根底から覆される明白な危険と認定できるかどうかなんです。