<安保法制>公明党・遠山清彦議員に聞く 集団的自衛権の行使の条件とは?
これは私個人の意見になりますが、ホルムズ海峡で機雷が仮にまかれたとして、日本のタンカーが来れなくなっても、まず1つ、日本には日本国民全員が6カ月間暮らせるだけの石油の備蓄がございます。そうすると、まかれた瞬間、あるいは翌週、そういう状態になるとは想定できないです。 それからもう1つは、その備蓄された石油でしのいでいる間に、当然日本以外の国々も、その機雷のせいで迷惑を被るわけですよね。そうすると国連が動いて、国連決議が出る可能性が高い。あるいは国連決議が出るか出ないかにかかわらず、日本のように平和憲法でいろんな制約がある国と違って、集団的自衛権を行使できる国、百数十カ国、海外にありますので、その国々が普通の集団的自衛権に基づいて機雷を掃海してしまう可能性もございます。 いずれにしても私は完全にゼロとは言いませんけれども、この新3要件が当てはまる可能性のある事例として、ホルムズ海峡の機雷掃海というのは極めて低い事例だというふうに思っております。もちろん低いけれども完全にゼロでないという意味で、われわれは新3要件に合えば自衛隊は動けるし、新3要件に合わなければ自衛隊は動けないと、こういう答えを言ってるわけですけれども、それは法律論としてはそうなんです。法律論としては、まだ起こってない事態ですからね。これ、もしかしたら起こるかもしれないと、想像でしょ。想像の事態ですから、それは法律では新3要件に合えば行ける、合わなければ行けない、以上。終わり、なんです。 ただ、現実論として、本当にそういう事態になって自衛隊がホルムズ海峡に行くかどうかと私が聞かれれば、それは相当な偶然が重なって、われわれが想定しないようなことがいくつか重なってそうなることがあるかもしれない、という程度であって、確率は非常に低いと思います。
「新3要件」の判断をどうやる?
質問:実際、判断するのは時の政府ですか。 遠山:はい。新3要件の判断というのはもちろん、この新3要件で法律に書かれている文章だけでは判断しません。国会ですでに横畠内閣法制局長官、これは憲法の番人と言われている方ですけれども、そういうポジションにある人ですけれども、この人が去年、あるいは今年の国会の審議ですでに明言しておりますが、じゃあ、日本の国民の命や自由や権利が根底から覆される事態であるかどうか、ある事態が。それをどうやって認定するんですかと聞かれたら、これは攻撃をしている国の意思。意思ですね。それから能力。それから攻撃の規模。それから攻撃の態様。例えば核兵器を使って攻撃しようとしているのか、戦闘機を使ってしようとしているのか、船を使ってしようとしているのか、機雷でやっているのか、これによって大きく規模とか対応も変わります。そういったもの。 それからもっと大事なのは、私たちが分析をして認定しようとしている事態が、そのままわれわれが放置をして、何もしなかった場合に、本当に日本国民、日本国に大きな被害が及ぶのかどうか。その蓋然性。蓋然性というのは可能性ですね。 それから、もし、じゃあ、日本に被害が及ぶとなったときには、その被害が深刻じゃないといけないんですね。よく、さっきのホルムズ海峡の例で出てきますけれども、ホルムズ海峡が機雷で封鎖されて、エネルギー資源が来なくなったことによって、日本の経済が大混乱起きて深刻な被害になったときには、それを守るために自衛隊が行わなきゃいけない。こんな主張が国会でされることがあるわけでございますが、ってことは、日本人の、国民の、全体のですよ。1人や2人じゃありません。全体の命に関わるような深刻な被害でなければいけないわけですから、単なる経済危機、経済社会の混乱だけでは、とうてい新3要件に合わないってことです。 ですから、さっき私が申し上げたような、もう少し細かい判断要素というものを使って判断をしますし、特に大事なことは、日本が直接武力攻撃を受けたと同じような被害が来るという事態にしか、この新3要件に合ったとは言えないと、こういうことなんです。