セレッソ復帰の乾貴士が大久保嘉人との“レジェンド・ホットライン”…古巣に帰り伝えたかったメッセージとは?
4度目の指揮を執るレヴィー・クルピ前監督に率いられて臨んだ今シーズン。15年ぶりに復帰した大久保の復活もあって好スタートを切ったセレッソだが、5月に入ると11戦連続で白星から遠ざかるなど大失速。クルピ前監督は解任され、1998年からチームに携わってきた小菊昭雄コーチが新監督に就任して再建を図っている。 初陣となった8月28日のガンバ大阪との“大阪ダービー”を制し、再びガンバと顔を合わせたYBCルヴァンカップ準々決勝もホームでの初戦を落としながら、敵地での第2戦を4-0で圧勝して逆転。その第2戦の後半21分からデビューを果たしていた乾も、この札幌戦でプレー時間を45分に伸ばした。 セレッソがACLを戦った関係で未消化だった一戦で、大久保のゴールをアシストした乾へ、小菊監督は試合後のオンライン会見でこう言及している。 「コンディションと次戦への準備も含めて、もともと半分で、と考えていた」 エイバルで昨シーズンを戦い終えた後に帰国してから、乾はセレッソの練習に参加してきた。10年もの空白はすでに埋まり、日本代表でもすれ違う形で一度も共演していなかった大久保との間にも2戦目にしてホットラインを開通させた。 2ゴールをマークするなど、鮮烈な活躍を演じたロシアワールドカップから3年とちょっと。同じ時間を共有した仲間たちのなかで、今夏になってDF酒井宏樹(浦和レッズ)、FW大迫勇也、FW武藤嘉紀(ともにヴィッセル神戸)がJリーグへ復帰した。 「いや、オレは最後だし、別にオレが戻って来なくてもあの3人で十分に盛り上げていたと思う。ただただオレはセレッソのためにプレーしたい、という思いで決断したので」 ヨーロッパで長くプレーした選手たちが、Jリーグを活性化させるのでは――こう問われた乾は思わず苦笑いしている。その移籍会見から6日。途中出場した2戦で先発への試運転を終えたドリブラーの視線は、舞台をホームのヨドコウ桜スタジアムに変えて、再び札幌と顔を合わせる11日の明治安田生命J1リーグ第28節へと向けられている。 (文責・藤江直人/スポーツライター)