花開くか「行政DX」? デジタル庁発足に期待と不安
デジタル庁が「花開く」ために
菅首相はデジタル庁発足の日、「日本を創り変えるくらいの気持ちで知恵を絞れ!」と職員に檄(げき)を飛ばしたが、その前に日本の政府に国家100年の大計はおろか行政の羅針盤になる10か年計画すらない。自省の事業が大事、そうした自省第一主義による省庁横並びの弊害が大きくなり、「縦割りの打破」「横串行政の実現」が課題となってくるのは必然だ。 その対処策として、復興庁、消費者庁、観光庁、スポーツ庁、そしてデジタル庁と特命担当の大臣を長とする「庁」が次々作られていく。各省に分散する行政権限をひとまとめにするという発想、横串行政の実現という点でこれまでの観光庁もスポーツ庁もそうであり、デジタル庁もそう違わない。ちまた言われる子ども庁も同じ。特命組織が林立する形になると、それは時間と共に縦割りを生み出す恐れがあり、気を付ける必要がある。 政権の掛け声はともかく、「笛吹けど踊らぬ」様相では困る。どんな制度でも、設計か運用か意識か、3つのどの段階かに問題が潜むとうまくいかない。そこをきちっと見定めていくことが不可欠だ。 デジタル化構想は日本の新たな国のかたちを創る絶好のチャンスだ。デジタル庁は単なる技術官庁ではなく、官民のネットワークづくり、行政改革、新たな法制度の設計まで担う日本改革の司令塔であるべきではないか。