「これまで助けられっぱなしだった自分たちが、ようやく人に肩を貸せるようになった」――新生・純烈が温める思い
元戦隊ヒーロー俳優中心の4人組ムード歌謡グループ「純烈」。温浴施設を中心に活動を続ける“スーパー銭湯アイドル”としても知られ、5年連続で紅白歌合戦に出場。2022年は応援ゲストのダチョウ倶楽部、有吉弘行との『白い雲のように』の歌唱も話題になった。結成から15年、グループも脂が乗り、絶頂期ともいえるタイミングで脱退を決断した小田井涼平(52)のラストランと、新メンバー・岩永洋昭(43)を加えて新体制になったその後の純烈を追った。(取材・文:鈴木健.txt/撮影:ヤナガワゴーッ!、渡辺秀之/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
結成当時、メンバーに歌の経験者はほとんどおらず、約3年間のボイストレーニングから活動をスタートさせた純烈。売れない日々のなか、歌わせてもらえるのであれば、どんなところにも赴いた。 そうした地道な活動が徐々に支持され、スーパー銭湯アイドルとしてマダム層に火がつき、デビュー時から掲げていた紅白歌合戦出場を2018年に達成。ところが直後にメンバーのスキャンダルが発覚、リーダーの酒井一圭(47)も「終わると思った」と覚悟した。それでもファンが、残った4人のメンバーの背中を押し続けた。 結成16年目を迎えた2022年。この年は大きな転機となった。最年長者としてグループを支えてきた小田井を最高の形で送り出し、新メンバーの岩永とともに進もうとする彼らの物語――。
最大の見せ場でのアクシデント
「このおっさんにちゃんとフライトしてもらうのにこの一年間……いや、15年間命懸けでやってきたんや。だから俺、腹立つわ。楽しいライブでも、こっちは真剣やねん」 2022年11月9・10日、大阪でおこなわれたライブ「さらば青春の小田井」初日昼の部の終盤、それまでのムードが一変した。セットリスト表に誤りがあったため、酒井のMCで喋るタイミングがズレたのだ。 そこは、年内をもってグループを卒業する小田井のために駆けつけた旧メンバーの友井雄亮(42)と林田達也(40)を呼び込む最大の見せ場だった。オーディエンスの前では見せてこなかった酒井の怒りという本気――ステージ上に緊張が走るなか、去りゆく盟友に対する思いの強さが伝わるシーンとなった。