「株価が2倍になった時のPER」を考えよ、米プロ投資家が伝授する必勝術
ベテラン投資家のジェームズ・カリナンが運用するオスターワイス・オポチュニティ・ファンドは、小型成長株への投資の際に、独自のPER(株価収益率)の上限を適用することで、米小型株投資のベンチマークであるラッセル2000指数に大差をつけている。 アップル、アルファベット、マイクロソフト、エヌビディアのような1兆ドル規模の大型株の勢いが増す中、2024年もまた、出遅れ続ける小型株に注力する投資家にとっては不満が残る年になっている。ラッセル2000指数は、2021年11月のピークからまだ14%も低い水準にあるのだ。 この低迷により、小型株ファンドのポートフォリオマネージャーの多くは、割安度の高い掘り出し物のバリュー銘柄を探すようになった。だが、ジェームズ・カリナンは違う。運用資産が3億6500万ドル(約522億円)にのぼるオポチュニティ・ファンドは、カリナンが40年近くにわたって磨き上げてきた、「収益と利益率が同業他社よりも速いペースで増加している銘柄を、規律を持って買う」という方式で勝ち続けている。 「小型株指数にはひどい会社がたくさん含まれています」と64歳のカリナンはいう。「ラッセル2000を構成する企業のうち、45%は赤字で、20%は成長していません。成長株の投資家にとって、投資対象となるのはおそらく指数全体の20%程度でしょう」 サンフランシスコを拠点とするカリナンと彼のチームは、適切な銘柄を選ぶことを生業としている。そしてそのビジネスで、彼らは過去10年間、他社のファンドだけでなくS&P500種株価指数もアウトパフォームしてきた。 オポチュニティ・ファンドは、今年6月までの10年間で年平均リターン13.2%を記録し、同期間におけるリターンが年率10.8%のS&P500や、年率7.4%のラッセル2000グロース指数(同ファンドのベンチマーク)を大きく上回る。今年、オポチュニティ・ファンドの現在までのリターンは18.7%(運用にかかる総経費を控除後)となっており、これは他の同種ファンドの中でもトップレベルの成績だ。小型株全体の強さを占うラッセル2000グロース指数のリターンの4.4%は、S&P500よりも9ポイントも低い水準であるのにも関わらずだ。