「不登校を3週間で解決」うたう民間業者に医師が警鐘。運営元の代表を直撃すると“まさかの返答”
精神科医が懸念、スダチの問題点
毎月約400人の親子の診察を行っているというさわ先生は「再登校の先にあるリスク」を指摘します。 「『自殺で亡くなってしまった不登校経験者のうち、約75%が学校に再登校していた』という研究結果(※1)もあります。再登校することにより、『過剰適応』(置かれた環境に自分を合わせようとしすぎてしまうこと)の状態となり、身も心も限界となり、逃げ場がなく追い詰められてしまうことや、長期的な視点に立った支援の必要性が専門家たちによって指摘されています。スダチが再登校をした後の継続的なケアをどの程度行っているのか、非常に気になります。 不登校児の支援において親子関係に焦点を当てることは、必ずしも間違いではなく、親御さんにお子さんへの対応の仕方を助言することは診察室でもあります。しかし、親側からだけの情報をもとに親子関係に介入することで、子どもの精神状態がさらに追い詰められてしまうケースもあり、慎重に行う必要があると私は考えます。 そして、もっとも気をつけなければならないのが、命を失ってしまうリスクがあることです。不登校となる子どもの中には、知的レベルが境界知能域であったり、軽度の遅れがあったり、また学習障害や自閉スペクトラム症、ADHDなどの何らかの発達障害の特性があり、学校が特性にあった環境となっていないことが原因であるケースもあります。 支援をするうえで、必要に応じて子どものそういった生まれ持った脳の特性や精神状態を評価し、その子どもに合った適切な環境をゴール設定とすることが何よりも大切だと私は考えます。子どもの不登校によって追い詰められた親御さんへのサポートも、もちろん大切ですが、何より学校に行くのは子どもなのですから、子どもへの介入も必要だと考えています」(以下、さわ先生) ※1「心理学的剖検データベースを活用した自殺の原因分析に関する研究」(研究代表者:国立精神・神経センター 精神保健研究所 加我牧子)より