2025年中国政界は「ポスト習近平」を巡って「李強vs丁薛祥」の後継者争い勃発!?
西側外交官たちが案じた「李強失脚」
2023年3月に始動した3期目の習近平政権は、「発展と安全」を「2つの基軸」にしている。そのうち、「発展」(経済的な改革開放)の方に明確に軸足を置いているのが、李強首相だ。 習近平主席を始め、他のほとんどの幹部たちは「安全」(体制や社会の秩序維持)に力点を置いていたので、李強首相は就任当初、浮いていた。2023年夏に、秦剛(しん・ごう)国務委員兼外相や李尚福(り・しょうふく)国務委員兼国防相が失脚していった時には、「次は李強首相の番では?」と、北京の西側外交官たちが案じていたものだ。 ところが冒頭述べたように、中国経済があまりに悪化し、2024年3月の全国人民代表大会の頃に、「国の経済がダメなら政権の安全も保てないではないか」ということになった。当たり前のことをようやく悟ったのだ。それ以降、李強首相は復権を果たし、こんにちに至っている。 それでは、李強首相を習近平総書記の「後継者」とみなしてよいのか。私の見立てでは、そこは「?」--つまり判断するには時期尚早だ。 その最大の理由は、前述のように李強首相の志向が、習近平主席の志向と「真逆」だからだ。もしも李強首相にバトンタッチして、中国経済がみるみるV字回復していったら、習近平時代は何だったのかということになる。 そんな中、飛び抜けて優秀というわけではないが、従順でおとなしくて、将来的にも習主席に忠誠を誓うであろう部下がいる。それが、現在62歳の丁薛祥筆頭副首相だ。 新華社通信が発表している丁副首相の略歴の主要部分は、以下の通りである。 1962年9月 江蘇省南通生まれ 1978年~1982年 東北重型機械学院機械工程系鍛圧工芸及び設備専業で学習 1982年~1984年 上海材料研究所九室科研人員 (中略) 1996年~1999年 上海材料研究所党委副書記、所長 1999年~2001年 上海市科学委員会副主任 (中略) 2006年~2007年 上海市委副秘書長、弁公庁主任、市級機関工作党委書記 2007年~2012年 上海市委常務委員、秘書長 2013年~2017年 中央弁公庁副主任兼国家主席弁公室主任 2017年~2022年 中央政治局委員(トップ25)、中央書記処書記、中央弁公庁主任兼国家主席弁公室主任 2022年~現在 中央政治局常務委員(トップ7) 2023年~現在 国務院副総理(筆頭副首相)、党組副書記