2025年中国政界は「ポスト習近平」を巡って「李強vs丁薛祥」の後継者争い勃発!?
習近平の後継者候補
ところが習近平総書記の場合、自らの「後継者」を養成しないどころか、「後継者候補」とみなされた有力な若手政治家たちを蹴落としてきた。代表的なのは、2017年10月の第17回共産党大会前に失脚させた孫政才(そん・せいさい)重慶市党委書記(党中央政治局委員)や、2022年10月の第18回共産党大会で失脚させた故春華(こ・しゅんか)副首相(党中央政治局委員)である。 習近平総書記は同時に、「下剋上」(げこくじょう)を防ぐ目的で、2020年10月に、「中国共産党中央委員会工作条例」を定めた。その第10条では、こう謳っている。 <中央委員会総書記は、必ず中央政治局常務委員会委員(トップ7)の中から選ばなければならない> そのため「後継者」(新たな総書記)は、現在の常務委員の中から選ぶか、2027年秋の第21回共産党大会で新たに選出した常務委員の中から、いきなり常務委員の経験なしに「2段飛び」で抜擢するかしかない。いずれにしても、習総書記の一存にかかっている。 後者は、1989年に江沢民(こう・たくみん)上海市党委書記が、「3段飛び」で総書記に抜擢されたケースがある。だがその時は、首都・北京で起こった天安門事件によって共産党政権が崩壊の危機に瀕した非常事態だった。そうなると、習総書記が2027年の第21回共産党大会で退任するとしたら、やはり現在の常務委員である次の6人の中から、「後継者」を選出すると見るのが妥当である。 序列2位…李強(り・きょう)首相 序列3位…趙楽際(ちょう・らくさい)全国人民代表大会常務委員長(国会議長) 序列4位…王滬寧(おう・こねい)中国人民政治協商会議主席(諮問機関トップ) 序列5位…蔡奇(さい・き)党中央弁公庁主任(官房長官) 序列6位…丁薛祥(てい・せつしょう)筆頭副首相 序列7位…李希(り・き)党中央規律検査委員会書記 この中で、「ポスト習近平」になりえるのは、中国ウォッチャーとして確信を持って言えるが、序列2位の李強首相と、序列6位の丁薛祥副首相の2人だけだ。残りの4人は、おそらく習近平時代の終了とともに引退であろう。もしくは1人くらい残るかもしれないが、「お飾り」にすぎない。 つまり、仮に習総書記が2027年秋の21回大会を持って身を引くとするなら、「ポスト習近平」は「李強vs丁薛祥」になっていくことが見込まれるのだ。