「 オン 」飛躍の年を支えた3つのアプローチ。ゼンデイヤ起用やロエベとのコラボも
記事のポイント オンは持続可能な成長を目指し、革新的な製品展開や若年層へのターゲティング、コラボレーションを推進。 「 オン 」飛躍の年を支えた3つのアプローチ。ゼンデイヤ起用やロエベとのコラボも 第3四半期に前年比20%増の収益を達成。特にアジア市場での需要増大が成長を後押しした。 スプレー式シューズなど環境配慮型製品を開発し、炭素排出削減とパフォーマンス向上を両立。 スポーツブランドのオン(On)は、急速な拡大を遂げるとともにブランド構築に再注力した1年を経て、その持続可能な成長力を証明し、グローバルなプレミアムスポーツウェア市場で競争力のある存在となっている。 もともと革新的なランニングシューズで注目を集めた同ブランドは、今年、新カテゴリーへの戦略的進出、著名ファッションブランドとのコラボレーション、若年層でスタイルを重視する消費者層へのターゲティングに取り組んできた。また、スプレー式ランニングシューズを発売し、オリンピックに合わせてパリに店舗をオープンした。さらに、アンバサダーのゼンデイヤを起用したキャンペーンをゼンデイヤの主演映画『チャレンジャーズ(英題:Challengers)』のプレスツアーのさなかに開始した。 オンの共同CEOのマーク・マウラー氏は、今年の戦略がブランドの持続的な成長の基礎になると確信している。同氏は米Glossyに「2024年に達成したことは、まさに変革的だ」と語った。「我々は常にパフォーマンスとイノベーションを根底に据えてきたが、今はそのストーリーを拡大している。つまり、今日のの消費者と繋がる形で、パフォーマンスとライフスタイルを融合させることが重要だと考えている」。
アジア市場の拡大、D2C戦略、コラボレーション
マウアー氏の楽観的な見方は数字にも表れている。2024年の第3四半期、オンの収益は前年同期比20%増の6億2300万スイスフラン(6億8300万ドル、約1055億円)を記録した。この成長は、おもにD2C(ダイレクト販売)と、消費者需要が急増したアジア太平洋市場、特に日本と中国での大幅な増大がけん引している。マウラー氏によると、マーケティング投資をファネル下部のコンバージョン重視の戦術から、より広範なブランド認知度向上キャンペーンにシフトするという決定が、成功の鍵だったという。「特にオリンピックの時期に、ブランドストーリーテリングに投資することを意識的に決定したが、それが反響を呼んでいる」と同氏は語った。 今年、オンはコアとなるランニングコミュニティを越えた層にまでリーチしようと、戦略的コラボレーションにも力を入れた。11月発売されたアイコン(Ikon)アクティブウェアコレクションは、マウラー氏によると、その中でも傑出した成功を収めた製品だ。Z世代の消費者を真正面から狙ったコレクションは、オンの特徴的なパフォーマンス要素とストリートウェア風のシルエットを融合し、ジムからストリートまで着用できるように作られている。「アイコンコレクションは、若い消費者が何を求めているかに耳を傾けているという我々のメッセージだ」とマウラー氏は述べた。このコレクションのマーケティングは、若いクリエイターが、自身が着用した動画をインスタグラムに投稿する形で実施された。 On x IKONの限定カプセルコレクション これと並行して、オンは韓国のファッション集団のポストアーカイブファクション(Post Archive Faction、PAF)とコラボレーションした製品コレクションで、文化的な影響力を広げた。オンの技術的な専門知識とPAFの前衛的なデザイン精神を組み合わせたこのコレクションは、ほぼ即座に完売し、特にアジア市場で高い売上を記録した。「当社では常に、職人技とイノベーションに関するビジョンを共有できるパートナーを探している」とマウラー氏は言う。「PAFとの仕事は、最高の形で我々をコンフォートゾーンから押し出してくれた。その反響は驚異的だった。すぐに売り切れてしまい、私でさえ一足も手に入れられなかった」。コレクションのマーケティングも興味深い方法で行われた。韓国・ソウルの活気あるハイキング文化の中心である北漢山(Buchan Mountain、プカンサン)を舞台に、一般の人々が、隠されたオン×PAF(On x PAF)コレクションのアイテムを探すというジオトレジャーハントトレイル形式で行ったのだ。 On × POST ARCHIVE FACTION