ヒットコンテンツメーカーの哲学、高橋弘樹氏の挑戦と成功するクリエイティブの秘訣
後発から成長した経済メディア「ReHacQ」
――高橋さんが経済メディアをプロデュースされ始めたときは、すでにNewsPicksやPIVOTなど先行する経済メディアがありました。その環境下で、どのような切り口でいこうと考えたのでしょうか
「日経テレ東大学(ReHacQの前身メディア)」をやるときには、“お高くとまらない”ようにしようということは意識していました。どうしても既存のビジネスメディアには、意識高くて、理解できる人に届けられればいいって思想を感じたんですよね。故に質の高い情報は多くあったんですけど、そうじゃなくてもっと幅広く、それこそ中学生が見てもわかる、あるいは経済に今まで興味がなかったけどこれから知りたいとか、そういった人に見てもらえるようにマスを志向しようとはしましたね。
――たしかに、たとえばNewsPicksだと落合陽一さん、堀江貴文さんをはじめ、タレントでも加藤浩次さんやカズレーザーさんなどコメンテーターとして一定のイメージがある方が出られている番組が多いですね MCがテレビタレントだとしても、やっぱり高いビジネス経験がある人に向けて作っている気がしていて。できれば、そういった層が見ても見ようによっては深く見られるし、その上で間口をもっと広くしたいというのが理想ですね。マーケティング的な理想ではもっと絞ったほうがいいんでしょうけど。 ――高橋さんの書籍『1秒でつかむ――「見たことないおもしろさ」で最後まで飽きさせない32の技術』にも、テレビ番組を作るときには、誰が見ても楽しめる親切さがありつつ、深い知識がある人にはもう一段深い楽しみがあるよう、両方を意識して作ると書かれていました そうですね。たしか本の中ではマルチターゲットみたいな言葉を使いましたけど、テレ東時代にそういう思考があったので、それは今でも意識していますね。 ――それはターゲットが広いほどインパクトが大きいという考えのもとなんですか それもありますが、メディアってそういうものだと思うんですよね。知らない人に知ってもらうことが一番うれしいので。情報を取りたい人に届けるっていうのもあるんですけど、やっぱりテレビで学んできたことは、興味なかった人が興味をもつとか、知らなかった人が知るとか、そういった部分にマスメディアの良さを感じますね。