「どこから片づけても同じ」ではない…実家の「リビング、キッチン、寝室」で片づけのプロが最初に手を付ける場所
■実家片づけは「キッチン」から手を付けたい 仕分け置き場が確保できたら、場所別に3ステップに分け、片づけていきます。 【1】キッチン→【2】寝室→【3】リビング の順番です。 キッチンを最初に片づける理由は、年輩の方にとって最も生活に近い場所だから。3度の食事はいくつになっても必要なので、キッチンが片づいて使いやすくなると、快適さをすぐに実感できます。しかも7時間もあれば、だいたい片づきます。 また、キッチンは「省略と代用の考え方」を学ぶのに最適な場所。これは、用途が限られていたり役割が重複したりしているモノを減らし、他のモノで代用していくという考え方です。これがわかると、他の場所を片づけるときも、処分すべきモノの判別がつきやすくなり、前向きに取り組めるようになります。 ■多すぎる保存容器や賞味期限切れの調味料が眠っている まずは食器棚やシンク下など、キッチンにあるモノを全て出して床に並べます。 「え~、大変そう」という声が聞こえてきそうですね。 たしかに、足の踏み場がなくなりますし、気分も滅入ってきます。でも、実はその大変さが肝なんです。「こんなにモノが多いんだよ!」という現実をご両親に突きつけ、例えば10個出てきた保存容器を一つひとつ「いる? いらない?」と聞いていくと、どんなにもったいない派の人でも、必ず「それはいらない」と判断するモノが出てきます。 また、キッチンは賞味期限切れのストックも数多く眠っているので、処分するモノが明確なのもポイント。こうやって収納スペースを空けていくことで初めて、出しっぱなしになっているモノをしまう場所が確保できるのです。
■モノを全部出してチームごとに分ける キッチンにあるモノを全部出したら、鍋やフライパンなどの「調理器具」、ボウルやザルなどの「下ごしらえ用品」など、チームで分けていきます。 チームで分ける理由は、そのほうが要・不要を判断しやすくなるからです。 今、床に広がっているモノはとても量が多いので、そのぶん、情報量も多いです。大量の情報を一度に処理しようとすると、処理能力を超えてしまって、逆に思考停止に陥ることがあります。特にご両親は高齢なのでその可能性は高いです。だから、小さく分けて考えましょう。チームごとに小さく分ければ、考えを巡らせる範囲が減るのでサクサク思考できます。その結果、時短になります。 また、チームで分けると、今使っているモノと使っていないモノとが明確になるのもポイント。新旧入り交じった状態だと、要・不要を判断しやすくなりますよ。 ■買い替えで「代用」し省スペースを実現 チーム分けをしてみると、例えばザルやボウルが大小様々、複数あることがわかったりします。いろいろな形のモノがあるためそのぶんスペースをとっています。形が違うから重ねて収納することもできず、面積を奪われているのです。 でも、実はそのことに気づいたらチャンスです! 「いる? いらない?」と聞いた後に、次のような言葉を付け足してください。 「これを省略して、あれに代用したら、ぐっとスペースが減るよ」 「これに代用したら、洗い物が減ってラクになるよ」 「100均に売っている、小さいサイズのモノに買い替えたらスペースが空くよ」 通販番組のごとく、今これを決断したら、いかによい未来が待っているかを伝えるのです。 これは私が、通常のお片づけでもずっとやっていることです。 スライサーなど、キャベツ専用とか千切り専用とかいろいろな形のモノを持っておられる方に、「貝印のコンパクトな調理器セットなら全部の機能がそろっているから、こんなにわずかなスペースに収まりますよ」ということを、スマホで商品の写真を見せながら提案したりします。すると皆さん、「今の専用のものを全部捨ててそれに買い替えます」とおっしゃいます。