【大学トレンド】医学部のキャンパス移転、なぜ増えた? 看護学部と一緒に授業も
看護学部も新設
医学部の学生にとって、街に溶け込んだキャンパスは、どのようなメリットがあるのでしょうか。医学部学生センターの猪川正人さんはこう話します。 「医師を目指す学生にとって、さまざまな人と触れ合う経験は大事なことです。キャンパス内にも地域住民の方がいることで、学生は自然な形でコミュニケーションが取れます。学園祭などのイベントや講演会などでは、地域住民とより深く接する機会を設ける予定です。学生には地域と一体となって、病院を支える人材になってほしいと思います」 近畿大学は、医学部移転に伴い、26年4月に看護学部(仮称・設置構想中)を設置する予定です。医学部開設時に看護専門学校も開校していますが、看護学部では総合大学の強みを生かして、高度医療に対応できる看護実践力などを身につけることを目指します。 「大阪狭山キャンパスは、医学部だけなので、単科大学のような形になっていましたが、新キャンパスでは看護学部と連携した科目もあり、同じ実習棟で学ぶことになるので、交流が活発になることが予想されます。合同で行う課外活動なども実施されていくでしょう」(猪川さん) 医学部のキャンパス移転は、この先も続きます。医系総合大学である昭和大学は、27年に神奈川県川崎市鷺沼に新キャンパスを開設します。琉球大学や近畿大学とは異なり、附属病院の場所は現在の東京都品川区旗の台のままです。25年から「昭和医科大学」と名前を変更します。新キャンパスでは、医学部、歯学部、薬学部の2、3年次と4年次の一部、保健医療学部の2~4年次、助産学専攻科の学生約2千人が学ぶ予定です。「地域と共生するキャンパスづくり」が掲げられ、地域住民も利用できる広場の整備などが予定されています。 医師を目指すうえで、地域医療は欠かせない視点です。地域住民の生活を身近に感じられるキャンパスは、地域医療の視点を持った医師になるためにも最適な環境といえます。医学部のキャンパスがどんな場所にあるのか、受験校選びの際はチェックしてみるといいでしょう。
朝日新聞Thinkキャンパス