【大学トレンド】医学部のキャンパス移転、なぜ増えた? 看護学部と一緒に授業も
移転プロジェクトは、近畿大学創立100周年記念事業・医学部・病院開設50周年事業の一環として計画されました。移転の理由について、医学部・病院移転プロジェクトの萩原理実さんは、こう話します。 「医学部は1974年に開設、病院は1975年に開院しています。50年が経過し、建物が老朽化したことが一番の理由です。当初は現在のキャンパスでの建て替えも検討しましたが、何年も工事が続く状況で、教育や研究、診療を継続するのは難しく、学生や患者さんにも迷惑がかかることから、新キャンパスを構えることになりました」
町の活性化に大きな効果
新キャンパスがある泉ケ丘駅周辺は、泉北ニュータウンの一角です。 「泉北ニュータウンもまちびらきから50年以上が経過し、人口減少や高齢化が問題となっています。医学部・病院の移転によって、学生や教職員、患者を合わせて約5千人が毎日往来する場になります。移転は泉北ニュータウンの再生や活性化に大きな効果をもたらすことになると思います」 近畿大学が新キャンパス設置にあたって重視したのが、地域住民とのつながりです。 「最大の特徴は、敷地の外周に塀やフェンスなど、敷地の内と外を仕切るようなものがないことです。つまり地域住民の方がいつでも自由に出入りできます。泉北ニュータウンには歩行者専用の緑道が整備されていますが、その緑道がキャンパスの北側の外周につながるようになっています。敷地内にも緑道を取り入れていて、地域住民の方は通勤、通学、散歩、ジョギングなどでこの緑道を使えます」 敷地内は全体的に緑が多く、隣接する堺市の公園との境界も仕切られていません。広場やカフェなど、学生や患者、地域住民が自由に過ごせる憩いのスペースも設置予定です。 だれもが自由に出入りできるとなると、セキュリティ面が気になるところですが、塀がない分、建物の出入り口はもちろん、屋外にも多数の防犯カメラを設置するなど、セキュリティを強化しています。