「なんで自分ばっかりしんどいのかな」引きこもりから日本初のパラ卓球シングルス金メダリストになった和田なつき
始めての環境が苦手
――その感覚過敏って、卓球しているときにはどんな影響があるんですか。 光とか音とかの刺激が全部入ってきちゃうんで、疲れやすいし、苦しいんです。 パリパラリンピックの準決勝が、会場真ん中の、光が強く当たる台でした。トスが上げられないと思ってしまって運営の方に言ったんですけど、ルールの範囲内だし、カメラ位置も決まってるから変えられないよって。 初めての環境が苦手です。 ――パリの応援けっこう激しかったですけど、音は大丈夫だったんですか。 もう、音がすごいっていうのはオリンピックからずっと聞いていたので、配信を見ながらこんな感じなんだと。パラも先にダブルスの試合があったので、フランスの選手の試合を見ながら耳を慣らして。 1回戦が不戦勝になったとき会場にいたので、 自分が戦ってる姿を想像できました。 ――イメージできることが大事なんですね。 ただ、向こうの会場で練習はうまくいかなくて、ずっと泣きながらやってました。 それがひどくなっちゃって、コーチにもう5分間泣いたらいいよって言われて、卓球から1回離れて思いっきり泣いたら、結構すっきりしました。
私は泣いてしまうタイプ
――練習ではどんなときに苦しくなるんですか。 言われてることがわからないときと、わかるけど体で表現ができないとき。 例えば、飛びつきの後のこの体重の乗せ方って言われても、大きい動きをした後だと、やっぱり細かい動きって難しいじゃないですか。 なんでできないのって、混乱したり癇癪を起こして泣き出したりします。 コーチが重要なアドバイスを遠回しに言ったり説明が長いときも、まず話をじっとして聞けないので、そわそわし始めて会話が全く入ってこないです。 ――僕らはその場面を見る機会が少ないので、わからないだけなんですね。 私はもう何かわからなくなったら泣いてしまうタイプなので、練習でも泣くし、試合中も今年5月の台湾の大会で号泣してしまって、1点で取られたゲームがありました。 タイムがあるとまだ落ち着けるんですけど。 ――じゃあ、ダブルスもペアが変わると大変ですか。 いや、ダブルスは誰がパートナーでも平気なんです。自分のプレーに集中するだけなので。