「なんで自分ばっかりしんどいのかな」引きこもりから日本初のパラ卓球シングルス金メダリストになった和田なつき
ブリスベンまで駆け抜けたい
――これからの目標を教えてください。 世界ランクがまだ1位じゃないので、まずはそれが今の一番の目標です。 あと、2年後の世界選手権と、「Virtus(ヴァータス)」という知的障がい者だけの大会で優勝すること、そしてロサンゼルスパラリンピックでもいいメダルを取ることです。 ――21歳で金メダリスト。ずっと長く活躍したいっていう気持ちですか。 そうですね。パラリンピックが、ロサンゼルスの次がオーストラリアのブリスベンなので、そこまでは駆け抜けたいなと。 ただ、世界で勝てても日本で勝ち残るのが難しいです。世界は同じ人がずっと強いですが、日本は次々と、各県にひとりとか強い選手が出てくるので、まずは日本で勝てるように頑張ります。
取材を終えて
聞きづらいことをたくさん質問した。 特に知的障がいの場合、選手がどんなハンディキャップと折り合いをつけながら競技生活を続けているか、伝わりづらいからだ。 聞けば聞くほど、15歳当時引きこもりと障がい診断で苦しんでいた和田選手が、卓球に出会えたことが嬉しかった。 引きこもりからの日本初のパラ卓球女子シングルス金メダルはもちろんシンデレラストーリーだが、“卓球に救われた”という意味では、老若男女、健常・障がい者関係なく、私たち卓球愛好家の肖像でもある。
槌谷昭人(ラリーズ メディア事業本部長)