箱根駅伝“山の妖精”は「やっぱり“神”になりたかった」城西大・山本唯翔の5区への思い「(青学大・若林宏樹に)記録が破られて正直悔しい」
箱根駅伝においてもっとも“特別”な区間、5区。山上りのこの区間を制し、いくつかの条件がそろったとき、その選手は「山の神」と呼ばれる。3代目の神野大地を最後に生まれていない山の神。その襲名にあと一歩まで迫った男たちがいる。その一人が、山本唯翔だ。2度の区間新記録を叩き出し、「山の妖精」の異名を得た。現在はSUBARUで2025年ニューイヤー駅伝でも好走を見せるなど活躍する山本に、「山の神」への思いを聞いた。〈NumberWeb連続インタビューの2回目/1回目・宮下隼人編はこちら〉 【写真】「た、確かに身軽そう…」妖精の二つ名のごとく軽やかに5区を走る城西大時代の山本唯翔から、ちょっとかわいい特写+今大会の「山の神に迫った男」、“若乃神”こと青学大・若林宏樹を写真で見る 「やっぱり、山の神になりたかったですね」 山本唯翔(城西大―SUBARU)は、少し悔しそうな表情でそう言った。 2024年、第100回大会の箱根駅伝、個人としては「4代目・山の神」に値する区間新記録をマークしたが、「神」と呼ばれるその他の条件が整わなかった。
「5区が一番目立てるな」
運がなかったとしか言いようがないが、山本が「神」になるべく費やした時間と労力を思うと、単に運で片づけていいのかと考えてしまう。それほど山本は、山に全てを懸けていた。 なぜ、そこまで5区に魅せられたのだろうか。 「箱根を見たのは小学生の時で、その時に憧れたのが柏原(竜二)さんです。あの走りを見て、箱根駅伝は5区が一番目立てるな、と勝手に思っていて(笑)。僕が5区を目指すキッカケになった人でした」
箱根を走るなら5区しかない
山本は、新潟の十日町市の出身だ。山に囲まれ、坂道が多く、大学や実業団の陸上部がよく合宿で利用しているところでもある。小学校時代は、片道2キロの坂道を歩き、脚が鍛えられた。その後、中高でも山への憧れは消えるどころか、どんどん膨らんでいった。 「中学の時は、箱根を目指せるような選手じゃなかったんですが、それでも上り基調なところでジョグをしたり、山を意識はしていました。高校の時は、上りのコースでタイムトライアルをして1番になったりしていたので、これは5区行けるんじゃないかと思いました。とにかく箱根を走るなら5区しかない。それは、ずっとブレなかったです」
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